アート旅ブログのマチです。
梅雨空でもお出かけ。
今日は鎌倉経由で母のところへ向かうことにしました。
寄り道は、神奈川県立近代美術館 別館 通称カマキン。
1960年に製造されたレトロ江ノ電に乗車して。

観光客は長谷寺や明月院へ向かっているようです。
アジサイが美しい。


神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
建築として

1951年に開館した美術館は、前川國男に師事した建築家大高正人の設計のもと建てられました。
山に挟まれた住宅地に溶け込むように工夫されています。
キャンティレバー構造で(片持ち梁)を用いたエントランス上の左右に飛び出した2階部分が特徴的です。
とてもカッコイイ。モダニスムの境地。

屋外彫刻
渡辺豊重「SWING 86-01」
左奥の作品。
曲面と平面の組み合わせ丸びを帯びた形、白、赤、緑の明るい色彩が楽し気な雰囲気をだしています。

柳原義達「犬の唄」
タイトルは抵抗の精神を謳うフランスの歌に由来します。
女性の強さを表現している。

植松奎二「浮くかたちー軸」
下向きの円錐は作者の作品に度々表される形。
重力などの目に見えない根源的な力を意識させます。
赤い円錐の作品を何度か鑑賞しているけれど、黒一色もいい。

本郷新「わだつみのこえ」
紫陽花をバックに彫刻が映える。
第二次世界大戦に出征して亡くなった学生を追悼し、平和を祈念するためにつくられました。

山室眞二の薯版画 展

エントランススペースの天井。
照明器具でスクエアを作っているところにセンスを感じます。

吹き抜け部分の階段を上がると展示室。
ワクワクする気持ちを抑えつつ向かいます。

アーチ状の天井が好きです。

山室眞二さんは1939年生まれで50年以上にわたって、じゃがいもを版とする薯版画を独学で創作した作家さんです。
モチーフは鎌倉で出会った植物、虫、鳥など。
版画の他には、造本、装幀も手掛けています。

ジュール・ルナール『博物誌』に倣い、<かまくら博物誌>というテーマで作品を作りあげています。

「薯版deルナールとあそぶ」
ポストカード大の紙に出会った生きものたちを薯版で摺って言葉を添えた作品で、ルナールをオマージュしています。
表紙の色合いもとても素敵。

小さな生き物への愛情を感じます。

春の植物。
「アオキ」「ヒヨドリジョウゴ」「ツリバナ」「カラスノエンドウ」など。

蜘蛛やありも手作り。
鮮やかな色の糸は親交のある染色家の志村ふくみさんから譲り受けたものです。
実物の作品を見ると、とても繊細で発色の良い糸が使われていることがわかります。
「山室さんの作品は私にとって、いつも身近にありました。彼の手は、細くて長い絹糸を、暖かく親しみを込めて扱ってくださいました。」
志村ふくみさんのメッセージより

春の植物。
「シャガ」「サクラ」「ハルリンドウ」など。

夏の植物。
「ヒメツルソバ」「カラスウリ」「タチアオイ」など。
昆虫の触覚など細かい部分は版画を摺った後で手書きで描き加えられます。

秋の植物。
「ハギとキタキチョウ」「リンドウ」「カラスウリとキタテハ」など。

冬の植物。
「ソシンロウバイ」「アロエ」「ワビスケ」など。
薯版画は彫って摺りだす工程が2時間ほどで限られた時間の中で作られると、美術館スタッフさんが教えてくださいました。
木版画のように何枚も摺れないのも特徴。

ありが何かを一生懸命運んでいます。

<バードウォッチング>
向かい合ってさえずりあっているような。
会話を想像し微笑ましい気持ちに。

切手シリーズ
切手を模した作品は山室さんのとって重要な作品群。
描かれる切手の形は描かれたものを彩る額縁のような効果もあります。
小さな世界に趣向が凝らされています。


切手シートを模した作品です。
図柄は薯版の作品をコピーし印刷したものですが、穴は一つ一つ手作業で開けられています。
同じものがいくつも並ぶ様子に惹かれるそうです。

「飛んできた自画像」
”薯版画を制作するようになった初期の作品で、鎌倉でみられる野鳥が取り上げられています。薯の輪郭は額縁のように用いられており、鳥の側には鳴き声がローマ字で表されています。”
展覧会のキャプションより
山室さんのユーモアが感じられます。

ちょっと悲しい物語。
でも、人間、生き物への愛情が伝わってきます。

2人が最初に共作した作品。
右には植物にまつわる文章、左にはその植物で染めた裂が添付されています。
美しい色。

志村ふくみさんの言葉と山室さんの挿絵のコラボ。

摺りの工程

ワークショップも好評で満席だそうです。
美術館という空間にある椅子がとても好きです。


ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑 [ 鈴木 純 ]
開催概要


アクセス


ブルーボトル 鎌倉店



店内
スイートブロッサム ラテをオーダー。
和歌山県 柑橘ブランド「伊藤農園」のみかんピールを仕上げにふりかけてくれるバリスタさん。
エルダーフラワーのフルーティな余韻とみかんピールの爽やかなシトラスの香りが梅雨のじめじめを吹き飛ばしてくれる。
大変美味でした。
楕円のカップ&ソーサ―が可愛い。
ドリンク呼び出し名前をマチルダにして、店員さんを混乱させてしまったのが失敗。

店内カウンターやはライトグレーで落ち着いた洗練された雰囲気を漂わせています。

10×10 100枚の天井に配されたミラーが店内を映し出し洗練された空間を演出しています。
筒状の和紙のような素材でできた照明も素敵。

ソファ席でゆっくりとお茶を楽しみました。
大きなテーブルにはフックがつけられていて、バッグをかけられる。細かい心遣いがいいな。

グッズも充実しています。ドリンクボトル、トートバッグなど。

スイーツのパッケージもおしゃれ。

アクセス


近隣レストラン
鎌倉県立近代美術館 鎌倉別館 (通称カマキン)の隣のレストラン。
食事はもちろん、お茶だけでも利用できるようです。
次回必ず!


近隣立ち寄り
鎌倉八幡宮の敷地内の鎌倉文華館鶴岡ミュージアム。

シンメトリーの美。設計はモダニズムの建築家坂倉準三。

ピロティと池のコラボがユニーク。
ハスの葉の生命力を感じます。

ハスの葉の撥水力半端ない。そして美しい。


まとめ
小さな生き物を慈しみ、愛情を注ぐ山室眞二さんの世界に心が温まりました。
苦手な昆虫さえ、かわいく見えてきます。
何気ない生き物、植物に目を向けようと思った鎌倉アート散歩でした。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。

