アート旅ブログのマチです。
どうしても観たかった伊藤若冲作品を追いかけて静岡へ行ってきました。
静岡県立美術館 「開館40周年記念展 静岡県立美術館をひらく 7つの扉」のアートレビューです。
桝目描きの素晴らしさ、対話型鑑賞の様子などお伝えします。
静岡県立美術館
ウィリアム・マクエルチュラン「出会い」
恰幅の良い紳士ふたり、よほど急いでるのか思わず。。。
街にこんな立体作品がある環境が羨ましい。

静岡電鉄 レインボートレインズ ものつくり大学とのコラボ。

屋外アート
バス停を降りてからのアプローチに屋外彫刻がたくさん設置されています。
鑑賞しながら美術館に近づいていきます。

舟越保武「杏」
世田谷美術館にもある彫刻。
よく見ると少女は手に杏を持っている。
「杏」今まで少女の名前かと思っていました。作品をちゃんと見ていなかったんだ、反省。

山口牧生「四角柱と丸い石」
御影石 雨にぬれてつやつやと。

清水九兵衛「地簪」
経年変の色合いもいい。家電などを買った時に付けてもらう取っ手みたいに見える。

掛井五郎「蝶」
なぜ?足の開き方かな?
美術館スタッフさんに聞くのを忘れてしまった。

佐藤忠良「みどり」
DIC川村記念美術館で美術専攻学生が「さとちゅうの作品の足までよくみるように。」と、会話していたのを思い出しました。
手足、髪の毛のとらえ方、よく見ると発見があります。

新宮晋「時の旅人」
風雨を受けてリズミカルに動いている。
御年88歳の先生。
発想が自由でお若い。「美の巨人」で拝見しました。

企画展 開館40周年記念展 静岡県立美術館をひらく 7つの扉
2024年に来館して以来、2回目の訪館。

今日のメインは、伊藤若冲の枡目描き。
【枡目描き】とは
画面全体に縦、横それぞれ1㎝間隔で淡墨線を引いて無数の方眼を作り、そこへ地塗りとして淡彩を彩色する。
そして、それぞれの方眼の内を白・青・赤・黄・緑などの絵具で方形や円形を描き、さらに濃い同系色で小さな方形や円を描く手法です。
昔(昭和)のお風呂のタイルのように見えます。
伊藤若冲「樹花鳥獣図屏風」 18世紀後半
右隻は白象を中心に「群獣図」左隻は鳳凰を中心とした「百鳥図」という形式をとっている。
多様な生命が集う楽園のような絵は涅槃図に登場する動物と重なることから仏教とのかかわりが想定されています。
落款がないこの屏風に若冲の関与が考えられるのは、「枡目描き」という表現が若冲考案の技法と推定されていることによるそうだ。

よく見ると一つとして同じ枡目はなく、色の濃淡があるとこで立体感がうまれている。
像を正面からとらえるという斬新な構図に目が奪われる。

絶妙な遠近感を感じます。
手前に描かれた鳳凰や鴨から松林のある中洲を辿ってさらに奥の小さな鴨に視線が誘導される。

鮮やかな色彩ともこもことしたタイルの質感が見ていて楽しい。
この日行われたお話しながらの対話鑑賞でどこかの紳士が「今はやっているプチプチシールみたい。」だと言っていたのが的を得ているなぁと思いました。まさに!
盛り上げるところと盛り上げないところをつくることで重厚さを表現しています。
枡目描きはグラデーションのような色の変化も表すことができます。

ひょうのような不思議ないきものはカメラ目線。
なんともいい表情。

伊藤若冲「釈迦十六羅漢図屏風」残された印刷物

伊藤若冲「釈迦十六羅漢図屏風」 令和6年(デジタル推定復元)
こちらも対話型鑑賞でグループの皆さんと語り合った作品。
蓮の花や描かれている人物の表情、一人だけ後ろ向きのお坊さんの存在など発見し細部を見ていきました。
みんなで鑑賞するのは視点が増えて楽しいなぁと改めて思いました。
気づきがたくさんあります。

現物は消失して行方知れずになっている作品ですが、白黒の印刷物が残っているので、そこからデジタル技術を用いて再現しています。
最大の難関、色については「樹花鳥獣図屏風」などほかの若冲作品をヒントに推測し再現しています。
現代の技術って素晴らしい。


谷文晃「神馬」

狩野永岳「富士山登龍図」

川村清雄「波」
もともと図書館の高い場所に飾られていた作品なので、高い位置に展示してあるそうです。
見上げる視点というのも新鮮。

川村清雄「梅に親子雀」
横に長い油絵。
柱と柱のあいだを渡した横向きの木材「長押」にかざるために選ばれた形だそうです。
前景の梅に木の雀と後景の和室の軸と壁の様子の対比にとても惹かれます。
光の当たり方、赤黒の句と右下のサイン落款の色が一緒だという指摘も聞かれました。
ふっくらしたつがいの雀も豊かさの象徴にも見えてくる。
対話型鑑賞をしたから作品に親しみがもてました。
やっぱり対話型鑑賞はいいなぁ。


ここからは作品とともに額縁にも注目して鑑賞するコーナー
長尾建吉は工芸と絵画両方の素養を深め、明治初期から額縁製造を手掛けました。
明治期、日本洋画の発展とともに額装制作が求められるようになったから技術も進歩したのでしょう。
モーリス・ド・ヴラマンク「小麦畑と赤い屋根の家」
ヴラマンクは里見勝蔵や佐伯祐三を指導したことでも知られています。

ポール・ゴーギャン「家畜番の少女」
ゴーギャンがブルターニュに滞在していた時に描かれた作品。
明るい色合いがとても良い。

横山大観「群青富士」
デフォルメされた富士山、均一の平塗は琳派の影響が見られる。
リズミカルに描かれている雲海にもデザイン性を感じます。
シンプルな色と形。構図が絶妙、さすが大観。

草間彌生「最後の晩餐」 ソフトスカルプチャ作品。
よく見るとすべてがドット。椅子やテーブルまでソフト素材で作ろうという発想がすごい。

河原温 デイトプリンティング。
グレーの作品がほとんどの中、右の青い作品は珍しい気がする。
どんな意図があるのか河原さんに尋ねてみたい。
制作当日の深夜12時までに完成しなかった作品はすべて破棄される厳格なルールがあったそうだ。
厳しい~。

ヘンリー・ムーア
ムーア作品、目が点。
可愛さを醸し出しています。

アルベルト・ジャコメッティ「横たわる女」
シンプルなスプーンみたいな形の組み合わせ。
「細長い人物像」が有名ですが、初期から中期は抽象彫刻やシュルレアリスム作品を制作しています。
今作はアフリカ部族彫刻の影響を受けています。

コンスタンティン・ブランクーシ「ポガ二ー嬢Ⅱ」
ブランクーシ作品のフォルムが秀逸。
目と眉毛、後ろ髪の感じがお気に入りです。

<ロダン館>
圧巻の空間。
静岡県立美術館のロダン館は1994年3月に開館しました。ラグビーボール上の館内では、ガラス天井から降り注ぐ⾃然光のもと、公園の中を散策するように《地獄の門》や《考える人》等の30点以上のロダンコレクションを堪能すすることができます。
ロダン作品32点。

地獄門の前の床にはダンテ「新曲」が配されています。


ロダン「考える人」
パリのロダン美術館、東京の西洋美術館、ロダン館と設置場所の違いによって、作品の雰囲気が変わります。
周りの環境もとても大事。

ほとんどの作品が常設です。
見るたびに新しい発見があります。そういう意味でもアート鑑賞は面白い。

天井も高く細長くとられた窓からは緑豊かな景色。
贅沢な空間をつくりあげています。



アクセス


まとめ
静岡県立美術館が所蔵するマスターピース 伊藤若冲「樹花鳥獣図屏風」圧巻でした。
学芸員さんの企画も素晴らしく、楽しく鑑賞できました。
久しぶりの対話型の鑑賞、最高です。
じっくりと作品と向き合い、自分の思いを表現する、グループの皆さんの話もお聞きし新しい気づきに出会う。
アート鑑賞の神髄。続けていきたいです。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。

<静岡アート旅>
1日目
〇資生堂アートハウス
〇ねむの木こども美術館 「どんぐり 」「緑の中」
〇カフェ マリコ
〇Comble bar 静岡 倉俣史朗
2日目
〇静岡県立美術館
〇シネギャラリー (ミニシアター)

