アート旅ブログのマチです。
緑あふれる砧公園に隣接した世田谷美術館。
田中信太郎作品とのコラボレーションを見たくて5度目の訪問を試みました。
田中信太郎の展覧会と倉俣史朗と交流のあった五十嵐久枝さんの講演会の様子をお伝えしようと思います。
最後までどうぞお付き合いください。

世田谷美術館
屋外彫刻
緑豊かな美術館前庭に設置されている立体彫刻のセンスがいいなぁと、いつも感心してしまう。
まるで海外の美術館に来たような。


柳原義達「しゃがむ女」
自然の中でくつろいでいる。脱力感がよい。

バリー・フラナガン「馬とクーガ」
ウサギではないフラナガン作品は珍しいです。

保田春彦「赤錆の壁がある砦」
世田谷美術館は広大な砧公園の環境を損なわないように高さを低く抑え、建物を分割して配置しています。
建物と呼応する立体彫刻。

舟越保武「杏」
正統派の美しさ。凛とした佇まい。

土谷武「遠くがみえる」
土谷作品は横浜美術館のじゆうエリアにも設置されています。

企画展 「田中信太郎–意味から遠く離れて」展
美術館に入るとエントランス上部には、『芸術と自然はひそかに協力して人間を健全にする』のラテン語の銘文が刻まれています。
人々に親しまれるアートの場を目指した世田谷美術館設計の内井昭蔵の哲学が体現されています。
エントランスにはガラスのヴォールト(アーチ)天井。豪華!

田中信太郎は19歳でデビューすると、篠原有司男らによる「ネオ・ダダイズム・オーガナイザーズ」に参加。
1968年に発表した<点・線・面>のミニマルな表現は、倉俣史朗らデザイナーや建築家にも強いインパクトを与えました。
ヴェネチア・ビレンナーレに参加し、ブリヂストン本社、ファーレ立川、越後妻有トリエンナーレ、札幌ドームなどの多くのコミッションワークも手がけました。

〇△□(”萌 “凛 “律)
〇から□に向かっての光景がお気に入りです。

真鍮の枠自体が〇△□になっていて、見ればみるほど惹きつけられます。
窓外の緑も作品に彩りを添えています。
様々な角度から鑑賞します。
時間帯によっても見え方が違いそう。

世田谷美術館、展示室の天井も〇△。

作品の重しのような部分も〇△□でかわいい。



子どもたちにつられて、作品をくぐってみる。

体で感じる作品、素晴らしい!

この他、ピアニッシモシリーズ、フライヤーのメインビジュアルにもなっている<風景は垂直にやってくる><波のソナタ>など素晴らしい作品が展示されています。
シンプルだけれど、シンプルだからこそ、美しい。
いつまでも見ていたい、そんな気持ちになります。
倉俣史朗の家具
2階の特設コーナーに展示されているのが、写真家の小川隆之さんから寄贈されたシェルフなど数点です。
照明を落とした空間でじっくり向き合いたいです。

過去に武蔵野美術大学美術館を訪れた時の倉俣史朗デザインの椅子たち。
(世田谷美術館の 現在の展覧会には展示されていません。)
<ミスブランチ><ハウ ハイ ザ ムーン>
究極の美!


<ミスブランチ>は田中信太郎氏が倉俣史朗の娘に買ってきた造花のバラからつくられたというエピソードは有名。

建築
世田谷美術館を設計した内井昭蔵は東京生まれ、早稲田大学で菊竹清訓氏に師事しました。
代表作はここ世田谷美術館です。
自然と人間の調和をテーマに地域性や歴史的文脈を大切にした設計で知られています。
合理的なモダニズム建築をベースに装飾性や人間性も重視しています。
フランク・ロイド・ライトの研究者でもあります。

テラコッタの素材感がとても良い雰囲気を醸しだしています。
中に照明を仕込んであります。
フランク・ロイド・ライトのテイストも感じます。

丸・三角・四角の幾何学模様の装飾がリズミカルに並び、回廊を飾っています。
そして、奥行き美。

分散した展示室やレストランなどの施設は回廊でつながれています。
天井からの自然光が間接的に入りこみ、独特の空間をつくりあげています。
明暗が深みを与えているようにみえます。神秘的で、素敵だ。

大きな窓に面した回廊には綿糸で編まれた内井乃生作「彩布」がディスプレイされていて、ベンチ背もたれの波形と呼応しています。
内井乃生は昭蔵さんの奥様。インテリアデザインとして昭蔵さんのパートナーとして活躍した方です。
前庭の植栽を眺めながら、ゆっくり過ごすのもいいなぁ。

正多面体からできている照明。
とてもスタイリッシュ。


講演会 「田中信太郎と倉俣史朗の共鳴」
「田中信太郎–意味から遠く離れて」展 関連企画
クラマタデザイン事務所に在籍し、倉俣史朗と田中信太郎を間近に見続けた五十嵐久枝さんに、在りし日の二人の姿を語ってもらうという企画でした。
<五十嵐久枝さん>
現在、武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科で教鞭をとり、同大学の「ゼロスペース」のデザインを手がけています。
「ゼロスペース」の特徴は、石ころのような形の弾力性のあるベンチと夜間に点灯する天井の反射板。
いすはヒューマンスケールを取り入れて、多様な使い方ができるそうです。
寝転がったり、パソコンを使ったり。。
その他、インテリアのデザインやアパレルの企画など活動範囲は多岐にわたっています。
<倉俣史朗と田中信太郎の当時の様子>
クラタマデザイン事務所に週に何回か顔を出し、一緒に店舗の企画や内装のアイデアを出し合ったり盛んに交流していた記憶があると、語られていました。
現存する貴重なバー「コンブレ」の天井、床、壁はOSB建材が使われ、大きな面で構成したいという倉俣史朗の願望がかなえられた空間です。
大きな面で構成したいという考えは、田中信太郎の作品から影響を受けていると、近くで見ていて感じたそうです。
香港のM+に収蔵されている「きよ友」の杉板天井にも面で覆う発想がみられます。
入口の曲線部分も同じことが言えます。
「きよ友」海外流出してしまったけれど、保存されて本当に良かった。



紹介のあった京橋の 田中信太郎さんの「ブランクーシ ラブソディ」見てみたいです。
基本情報



アクセス
・田園都市線「用賀」駅
美術館行きバス「美術館」下車徒歩3分
・「用賀」駅から徒歩17分
・小田急線「成城学園前」駅
田園調布駅行きバス「美術館」下車徒歩5分
・東横線「田園調布」駅
千歳船橋行きバス「美術館入口」下車徒歩5分
・来館者専用駐車場(無料60台)
まとめ
田中信太郎と倉俣史朗はお互いに刺激し合って、素晴らしい作品を世に出しました。
五十嵐さんの講演会を聞いて、そのことがよくわかりました。
世田谷美術館の展示室は作品の魅力を最大限に引き出しているように感じます。
世田美だから実現する空間。
是非、現地で実感してほしいと思います。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。


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