アート旅ブログのマチです。
9月に入っても猛暑は続く。そんな中、上野公園の木陰を選んで歩く。
今回は上野界隈のアート散歩へ。
まずは、上野恩賜公園 「芸術の散歩道」
2025年6月1日~2026年4月30日
木々の中を散歩しながら立体アート作品を鑑賞しよう。

左上:上野界隈の地図を彫刻で
左下:上野奏楽堂
右上:旧博物館動物園駅(現在は使われていない)
右下:東京藝術大学正門 アートの聖地

明治から昭和初期の建築は魅力的だ。見ているだけでも豊かな気持ちになれる。
主体展@東京都美術館
東京都美術館はル・コルビジェの門下生の一人モダニズムの巨匠前川國男設計の建築である。
日本初の公立美術館で、上野の自然とも調和している。
外観はレンガ造りで館内の内装もシックでおしゃれ。まったく古さを感じさせない。

左上:井上武吉作品 景色や人物が映り込むのが良い。
左下:堀内正和作品
立体彫刻を楽しみながらエスカレーターを下り館内へ。

館内のレトロな照明、光が優しい。
椅子やインテイリアはカラフルな色遣いが特徴的でアクセントになっている。

第60回 主体展
毎年、美大の教授である友人が招待してくれる主体展。
今回で鑑賞するのは6度目になる。
名だたる作家先生からセミプロで歩み始めたばかりの作家さんの作品まで、250点以上展示される。
左上:花びらをデフォルメして幾何学的に描いている。モチーフ、色あいともにお気に入りの作品
左中:色の対比がとても魅力的だ。紫と赤のコントラスト。
右上:ヴェネチアの風景のようだ、細密描写。
右中:水村喜一郎作品
水村先生は幼少期に電線にぶら下がって両腕を失い、筆を口でくわえて描いている。
細かく、何層にも塗重ねられる描写が素晴らしい。

左下:續橋守 「跡」
横浜の楽画廊で續橋先生のお弟子さんの作品を観てから先生の作品を拝見したいと思っていた。
戦争の後、廃墟などいろんなことを想像する。

海の情景か、あえて赤を使っている理由を聞いてみたい。

山本靖久 「境界ー間」
なぜ木々の間から垣間見るように動物や人物を描いているのか。
作家さんいわく、ウクライナやガザの分断を想いこのような構図で描いたそうだ。
上村松園の作品から発想を得ているとのこと、深い。
隠れている部分があるから余計に見たくなる。

青、赤、緑と配色が魅力的な作品。

主体展初期のメンバーであった大野五郎氏没後20年に際して、企画展示と講演が行われた。
大野氏にゆかりのある3人の作家さんが登壇し、大野氏の経歴、エピソードなどを率直に語ってくれた。
飾らないトークに大野氏、3人の作家さんの人柄がにじみ出ていて、もっと聞いてみたい気持ちになった。
作家さんの主体性と自由な創造表現を重んじるこの会の次回展覧会も楽しみだ。
9月17日まで 東京都美術館にて。
黒田記念館
日本洋画の巨匠黒田清輝の代表作やスケッチを展示する美術館である。
建築は岡田信一郎設計で昭和3年竣工。
スクラッチタイルの外壁、イオニア式列柱が特徴になっている。
青々とした銀杏の間から見える姿が重厚感を感じさせる。

国の登録有形文化財に指定されている。

窓から見える緑も美しい。

内装はアールヌーボーの特徴が取り入れられていて優美。
赤いビロードの絨毯に曲線で飾られた手すり。植物のつるのよう。

元貴賓室。

2階展示室の入口には黒田清輝の彫像。
鹿児島県の出身。17歳で法学の勉強のために渡仏したが、日本作家に絵画の道を勧められて、フランス人画家「ラファエル・コラン」に師事した。
明るい外光の表現を学び、日本画壇に近代洋画の技法を持ち帰って、指導者の立場となった。

右上:昼寝
草むらで眠る女性像。強い日差しの表現に特徴があり、印象派の筆触分割の技法が見られる。
ルノアールの作品を思い出した。

展示室の天井の意匠も美しい。

この日は残念ながら、特別展示室は開いていなかったが、期間限定で重要文化財の「智・感・情」「舞妓」「湖畔」を鑑賞することができる。
全て、鑑賞料無料。上野散策の際は立ち寄ることにしている。
☆アクセス
JR「上野駅」公園口より 徒歩10分
東京メトロ日比谷線・銀座線「上野駅」より 徒歩15分
国際子ども図書館
黒田記念館のお隣にある建築と言えば、優雅な雰囲気を漂わせている国際子ども図書館。
1906年に建てられた帝国図書館を保存・再利用し、2000年に国際子ども図書館として開館。
1929年に増築されたルネサンス様式のレンガ棟と2015年に新設されたアーチ棟からなっている。
正面からの外観、明治時代の建築の美しさが見てとれる。

階段手すりの意匠は優美で、最近になって階段マニアになったマチの心をぐっと惹きつける。
クラシカルなホテルの内装のよう。


左上:明治時代の建築様式が保存されていて実際に見ることができる。
左下:天井の漆喰の飾りも細かく美しい
右上:フランス積みで積まれたベージュのゴマ掛けレンガ

空気孔もデザインされている。

明治時代のシャンデリア。

全面ガラス張りで弧を描いているアーチ棟。
設計は現代建築の安藤忠雄。

奥行き美!
奥行きも大好きなマチ。しびれる。


新旧の融合がたまらない国際子ども図書館。
機能としても素晴らしい。
大人も子どもも楽しめる図書館。児童書など70万点を所蔵して、読み聞かせのコーナー、世界を知るへや、児童書ギャラリーなど充実している。
1階にカフェも併設されているので美しいアーチ棟を眺めながらランチやお茶もできる。
ありがたいことにお値段もリーズナブル。
若者が内部でスケッチする様子やカップルで建物の写真を撮影する姿が見られた。いいなぁ~。
文化の香り高い上野。
母が定期的に展覧会に連れてきてくれたので、マチにとって幼少期からなじみがある場所。
文化に親しむ土壌を培ってくれた母に感謝している。
アートはじめは東京国立博物館での「モナリザ展」だった。懐かしい思い出。
秋風がふいたら、本格的に芸術の秋を堪能するぞ~。
皆さんも是非。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。
