多摩美 ブルーキューブ 学園祭

ブルーキューブ 国内アート
ブルーキューブ

アート旅ブログのマチです。
アート関係の友だちに誘われて多摩美術大学の美術館へ行ってきました。
アクセスしにくい場所に位置しているので、相乗りさせてもらえるのは本当に助かる。
ありがとう、お友だち。

ブルーキューブ

多摩美は八王子キャンパス隣地にある日用品などを効率的に販売するスーパーマーケットを手に入れ展示会場に設置した。
謎と問いかけに満ちたこの空間で若い力の「爆発」と「拡張」が未来の一端を見せてくれるはずだと、学長の内藤廣先生は語っている。
一般のアートファンにもとても興味深い企画。

あえて案内版や店内掲示を残して作品を展示している。

「多摩美術大学創立90周年記念事業」
EXPLOSION&EXPANSION 「爆発」と「拡張」

何も知らずに来てしまったマチ。
スーパーマーケットをそのまま展示室に使うことを学生たちはどう感じているのか、尋ねてみた。
大学の方針で決まったことでも学生自身としてこの機会をどうとらえているか聞きたかったのだ。
「大学がここで作品発表するというので。」という消極的な返答だったので、少々残念だった。
今、視聴している京都精華大学の講義から刺激をうけているので、つい口にしてしまった。
どんな状況でも自分の意見をもつことは大事だなぁと、常々感じている。
一方、友人は「NYにディアビーコンっていうナビスコ工場跡地を美術館にした所があるんだけど、知ってる?こことそっくりな空間なんだ。是非行ったほうがいいよ。」と、学生にアドバイスしていた。
とても余裕のある言動。いつもリスペクトしている、見習わないとね。

早速作品鑑賞開始。

上:河合音和+水野ねね+湯浅薫子 バーコードリーダーみたいなテキスタイル作品
下:穴にあひる隊長が落下している トラバーは作品ではないそう。

山田大輝 「群像、26」
自身が撮影した写真からシルクスクリーンの版を作り刷っている。
細かいドットは近づいたり、離れたりすることで見え方が変わる。
渋谷のスクランブル交差点を渡る人々を描写している。

加藤舞「En80-90」「Melt」「時つむぎ」
加藤さんとは、展示室に入る前のエレベーターで遭遇していた。
カッコイイ。
「作家さんですか?」と、聞くと「そうです。作品は奥の鉄です。」と、即答してくれた。
ただならぬ、雰囲気。
この後、「出品作家によるトークセッション」で理由がわかった。
トークの中で加藤さん
「私は現場主義でまずはその場所にいって感じてインスピレーションを持ち帰って作品を作ります。」
ディアビーコンは2番目にお気に入りの美術館だそうで、1番目はどこなのか聞くしかない。
答えはワシントンの「グレンストーン美術館」
機会があったらたずねてみたい。
現場主義の行動派。是非頑張ってほしい。これから応援しよう。

逆行に浮かびあがる立体作品はまさにビーコン。
空間ごと作品。北斎の波のようで美しい。
「華麗さが朽ちていく美しさ、相反するものが共存する美しさ」がコンセプトだと加藤さんは語っている。意気投合して名刺までもらったマチ。ただの素人なのに。

池上創「CIRCURATIONs」
「エネルギーを、吹く行為でガラスに注ぎ込む」吹く行為は作家自身のエネルギーを転移させることのようだ。有機的な曲線は海洋生物を連想させる。
カラフルなガラス作品は自然光のなかで美しく存在する。
コンクリートを突き破って生えてくる様子は優しい曲線とは対照的に逞しさを感じさせる。
作品の間を視線を変えて鑑賞するのが楽しい。

空間をダイナミックに使っているところもとても魅力的。
チフーリさんとともに2大巨匠目指してほしい。
GINZA SIXのギャラリーに出品。UNIQLOのCMにも作品が登場していると、友人が発見。

坂爪亜蓮 
左:「海の形」「誰かに、寄り添そうために、一拍分余計に呼吸が必要だった」
右上:「記憶の変熔」
「常に変わらないのは丹念な仕事が生む繊細な美しさと鉄ながらに軽やかなフォルムである。」と、語っている。
金属を操って心情を表現するのは並大抵のことでない、と実感する。

陳栢欣
右下:「南冥の鵬」
描かれるエキゾチックなモチーフは未確認生物だそうだ。文化の多様性や重層する歴史を擬体させたもの。

大島宏士郎
「Humanatomy」身体性への関心を制作の中心にしている。
ダヴィンチの人体図を連想してしまった。

紫谷きづな
ソファ、テーブル、ベッドなどの家具をモチーフにした木彫彫刻を手がける。

胡棋
「扉」カラフルなテキスタイル作品。キャンパスに絵の具とパステルで彩色している。
空間の作り方にこだわっていると、語っていた。
中心部分に入れる体験がよい。

のえのん
冷蔵ケースに入ったぬいぐるみは持ち帰ってよいことになっている。
友人は大きなペンギンをゲット。
ゲスト参加型のインスタレーション作品。ワークショップも開催されていた。

若者のチェレンジングな展覧会に刺激されて大満足のブルーキューブだった。
頑張れ若き表現者たち!

多摩美術大学 学園祭

ディアビーコンでリチャード・セラ作品に出会ってから、国内外で鑑賞する作品に毎度感動している。
圧倒的な存在感となぜか祈るような心境になる不思議な感覚が病みつきになっている。
国内のセラ作品は豊田市美術館の<ダブル・コーンズ>が有名だ。
もう一つは多摩美にあることがわかり、今回学園祭にお邪魔した。

大学入口の彫刻はもの派の関根伸夫作品。
水差しと金づちに見える。美大にふさわしい空間。

校舎は日建設計のようだ。
ピロティーは存在しているけど、さらなる感動は生まれてこない。

多摩美術大学 八王子キャンパスの目玉は伊東豊雄設計の図書館だ。
この日は残念ながら入館できなかったけど、独特の曲線をいかしたデザインが外からのぞいてもわかる。
伊東豊雄氏多摩美大学院の教授をされている。
細く絞り込まれた柱脚と連続する三次曲線アーチなどが特徴だ。


それにしても、お目当てのリチャード・セラ作品が見当たらない。
自力でも捜索を諦め、学生に尋ねると、「世界堂とコンビニの間を探してください。みつかるはずです。多摩美内では知らない人はいないというくらい、有名な作品です。」と、誇らしげに答えてくれた。
さすが多摩美生。それを聞いてなんだか嬉しくなった。
若者でにぎわうキャンパスをどんどん奥に進む。
方向音痴のマチを友人が助けてくれて、ようやく発見。

リチャード・セラ「反転し合う直角、ヘクサグラムの基礎板を取り囲むために」
学園祭の出店の旗が立てられていてすぐにはみつけられなかった。
この作品の逸話がすごい。
1970年東京都美術館で行われた第10回日本国際美術展・「人間と物質」展のために制作された作品でその後地上で吹きさらしで放置されていたそうだ。
それを知った多摩美生がセラさんに許可を得て当時の上野キャンパスに設置し、さらに2000年もう一度掘り起こされて八王子キャンパスに埋められたという歴史がある。
上野キャンパスに設置する時にはセラさんから設置方法についての手書きの図が送られてきたそうだ。
セラ作品と言えば大型立体作品のイメージだけど、初期にはこのような作品も制作されていたのだと感慨深く感じた。
作品を大切にし誇りに思う美大生に出会えてよかった。

「白い球には絶対に触らないでください。」強いメッセージが張り付けられたレンガの球。
これは現代アートか?どう見ても白くはないのに。。。

美大には不思議なものもある。
学園祭を思う存分楽しんだ秋の一日だった。アートのお友だち、ありがとう。

帰りがけに見た藤野の「緑のラブレター」
1989年相模原市緑区のシンボル的野外アートとして制作された。
自然から人間へのメッセージがテーマになっている。
今では予算がつかずにメンテナンスする費用もないということでクラウドファンディングが始まっている。
目標金額600万円のところを現在106万円。がんばれ藤野。
維持するって大変なことだ。

アートっていいなぁ。今日も心豊かに。

伊東豊雄 美しい建築に人は集まる (のこす言葉) [ 伊東 豊雄 ]
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