アート旅ブログのマチです。
建築家内藤廣先生の講演会の前に久しぶりに天王洲エリアへ。
天王洲アイル アートめぐり
運河に囲まれた島全体をアートの街として開発し、美術館、ギャラリー、ストリートアートなど様々なアート活動を展開している地区。
2020年頃から本格的にアートにシフトしている。元々は食糧を保管する倉庫だった所を活用していることが画期的だ。
この日は京急線の「新馬場駅」から歩いてのアプローチ。いつもと違ったルートを辿るのもよい。
WHAT CAFE
天王洲運河を渡ってWHAT CAFEから。
WALL ARTは遠くから見ても目印になる。アートの街の象徴。

今日は寄る時間がなかったけれど、いつも魅力的な展覧会を鑑賞させてくれる「WHAT MUSEUM」
画材のディスプレイも美しい「ピグモン」を横目で見ながら歩く。

「WHAT CAFE」は売り出し中の新人作家の作品が展示されていてランチやお茶をしながら作品を眺めることができる。(何も食べずに見るだけもオッケー。)

Kai Nobuyuki 「Cheetah×Bouquet」
アクリルプリントの作品のようだ。とても発色も美しく、ダブルミーニングを読み解きながら見るのが楽しい。
お気に入りはその場で購入することができる。


猫の目線がいい。

「三毛縞と仙桃」粘土で形を作り、アクリルと色鉛筆で彩色している。

以前来た時よりランチメニューが充実したように思う。
平日のお昼時、店内は閑散としていた。ゆっくり作品を鑑賞できるからいいのだけれど。
同じエリアの雑貨屋さんも北欧テイストで素敵だった。

マキギャラリー
今回の目的はDMをくれたマキギャラリーへの訪問。
MUNGO THOMSON~Background Materials
LAを拠点として活動する現代ヴィジュアルアーティスト。
連続作品は映画、音、彫刻、インスタレーション、ドローイング、書籍を通じて、大衆文化、日常の認識、表現などを探求している。
後期作品は写真生成と流用芸術のテーマを扱っている。
右下:「TIME ミラー」
雑誌の表紙の一部に鑑賞者は取り込まれる。見ている人は虚栄心を満たすことができるが否応なく刻まれる時間の存在を確認することになる。
作品は見かけたことがあったけれどコンセプトは今回初めて知った。
質問をすると、スタッフさんはいつも丁寧に解説してくれる。

「Big American Apples」
「Walking Pictures」シリーズのひとつ。リンゴの品種を図鑑から抜き取り作品の中に閉じ込めている。静止したオブジェの中に複数のイメージを埋め込み時間の流れを宿らせる試み。

ロダンの画集を壁紙にしている。

花のシリーズ。生け花の教本を壁紙にして作品を展示している。


左上:運動シリーズ。

ろうそくのカタログ。
没入的な視覚体験を創りあげている。
ギャラリー内はいつもとは違った空間になっていて楽しめる。
ジョナス・ウッドの「テニスコート ドローイングス」は外されLAに運び出される時を待っているそうだ。何回も来館して楽しませてもらった。
そもそも、マキオーナーのファンになったきっかけがジョナス・ウッドのコミッションワークだった。
作家の作品を買い上げて、全面的にサポートするマキオーナーの心意気に感動してサインまでもらったことがある。
是非ともLA カウンティ美術館で連作に再会したい。叶うかなぁ~。
マチ、一推しのギャラリー

12月20日まで。
Kousaku Kanechika Gallery
京橋のギャラリーでも拝見した舘鼻則孝さんの展示。


よく見ると雷に文字が書かれている。
舘鼻さんの新境地は京橋で鑑賞することができる。
マチブログ京橋編は こちら

Gallery SCAI PARK
残念ながら、この日は休館日だった。
ギャラリーの外からの鑑賞。立体作品も素敵だった。
スカイザバスハウスが天王洲にオープンしたスペース。
魅力的な作品を展示しているので次回訪ねるのが楽しみだ。

Takuro Someya Compemporary Art
村山悟郎 「制作知のアプダクション」
今展は書籍化を契機に企画された個展。
15年以上にわたる創作と研究を基に「制作」という概念について作品を発表している。
文化人類学者のレヴィ・ストロースの分析によるカデュオ族文様塗色から作品を創作している。
レヴィ・ストロースの名は今年頻繁に目にした。原良介さん、万博フランス館、村山先生と。

KOTARO NUKAGA GALLERY
アニー・モリス イドリス・カーン「ひとひらの音」
いつも素晴らしい作品を展示しているNUKAGAギャラリー。
オーナーのセンスが光る。
六本木のピラミデのギャラリーとともにお気に入りのアートスポットだ。

一見して不安定なように見えるのだけれど、絶妙にバランスが取れている。
そして、360度ぐるっと見たくなる作品。

ロンドンとパリを拠点に制作活動を行う二人の作家さん。
夫婦でありながらそれぞれは違うアプローチで「喪失」「記憶」「時間」というテーマを追求している。
「ブロンズ、顔料、縫いの技法、水彩、油彩と様々な素材、手法を使った作品がある。
制作が複数の「流れ」から成り立っていることを見てほしい。」と、語っている。
確かに同じような球体の作品だけれども、艶、素材感が異なっているのが楽しめる。

12月26日まで。
内藤廣講演会
建設業に携わる友だちからのお誘いで如水会館へ行った来た。
マチが昨年から今年にかけて注目している建築家の一人が内藤廣先生。
まさか、間近で講演を聞くことができるなんて思ってもいなかった。

全建協連フォーラムのイベントに招聘され、登壇された内藤廣先生。
お題は「建築のちから」
自身の自己紹介から始まった。
手がけているプロジェクトの多さに驚く。
都市開発だけでも、品川、新宿、渋谷、名古屋、札幌、市ヶ谷、四谷、宮崎日向と全国に渡る。
2011年以降東日本震災復興事業にも携わる。
その他、グッドデザイン振興会の会長も務め、多忙を極める。
更に多摩美の学長まで。
多摩美の魅力については、マチブログ こちらを。
印象に残ったのは、都市開発に関して建設業界と人とを結びつけるのが建築家の役割だという話。
なぜなら、建築家は一般の人の生活、何を望んでいるかを知っているから。
様々な都市からお声がかかるわけだ。

後半は内藤廣先生の目指すところを語録で紹介されていた。
・「生まれたままの顔で死ぬのは恥だ。」 森鷗外
自分のやってきたことを次世代に渡す心意気で仕事をする。
・「われわれは誰の味方なのか。」建築家は人々のセンサー。
・「業者」のままでは民意は代弁できない。業を超えて仕事をする。
・はたして 建設業は「ものづくり」になっていないか。
現場で働く人たち、職人さんをリスペクトするべき。本当にその通りだ。
そして、若者へのエール。
音楽、絵画、建築 自分の興味をもったものそれぞれの№1に接しなさい、と。
万人に問いかける語録、自分をふりかえる有意義な時間になった。建設関係のお友だちありがとう。
最後のQ&Aでは、建設業の働き方改革について質問が出ていた。
人によってどう仕事をしたいかは様々だから個人にまかせるべきとの回答。
いつも的確な質問をするその方は納得されていた。
「高知の牧野植物園は25年経った今でも不具合がなく先生に感謝している。」と、いうスタッフさんからの伝言まであり、和やかな雰囲気で会は閉じられた。
今年訪ねた内藤建築で一推しは紀尾井清堂。画像をブログにあげています。
如水会館では何年か前にカフェ・マーキュリーでマロンシャンテリーをいただいたことがある。
メディアでも紹介されている東京會舘の伝統スイーツ。
ちょっと甘めだったけれど雰囲気込みで味わった記憶がある。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。

