アート旅ブログのマチです。
建築業に携わる友人からチケットをいただき、横須賀美術館へ行ってきました。
今回で4回目の訪問。

展覧会
建築家山本理顕を知ったのはいつだろう。
多分初めて横須賀美術館に来た時だと思う。
展示の内容はすぐに思いだせないけれど、建築に圧倒され感動したことははっきり記憶している。
なんの知識がなくても、素晴らしいものは人を感動させる。
今回は建築家山本理顕のコンセプトを深く知る機会になった。

公共の場と個人のプライベートな空間の境を「しきい」ととらえて、地域社会とつながる空間を大切にする概念が一貫している。
地域社会とつながる空間は周辺のコミニティ全体を豊かにするもの。
展示室にはマケット(建築模型)図面、スケッチ、ドローイングなど60点あまりが展示されている。
専門知識がなくても上から横からマケットをのぞきこみ、理顕氏の思いが詰まった建築を楽しんだ。

「ガゼボ」屋根と柱だけでできた開放的な空間のこと。
建物の屋上に設置されている。
「ロトンダ」ドーム状の屋根をもつ建築のこと。
集合住宅の屋上に設計されている。初めて知った建築用語。

「ハムレット」
なぜいきなりシェークスピア?と、思ってしまった。
小さな村のように、人と人との交流を促す空間のことを表す。
3世代4世帯の集合住宅。
水平方向に一つの大家族が繋がれるように設計されている。
プライバシーを尊重しつつ、つながりをもつことを可能にしているのだ。


「ドラゴン・リリーさんの家」
2台の愛車を優先させた家屋。
小さいながら機能的でおしゃれ。こんな家に住みたいと、つぶやく気持ちがよーーくわかる。
マケットをみながら生活を想像するのが楽しい。


「東雲キャナルコート」
1K~4LDKまで多様な間取りの部屋があり、様々なライフスタイルに対応する集合住宅になっている。
屋上に庭園がついている部屋やオフィスと住居を融合されたタイプの部屋まである。
コモンスペースのような共有空間や中庭もあるので、地域のつながりが保たれている。
外観の差し色もポップでとてもおしゃれ。
「東雲キャナルコート」6区画あって、山本理顕、伊東豊雄、隈研吾など区画によって設計者が違い全体のデザインアドバイザーを山本理顕氏が務めているそうだ。
断然、現地にいってみたくなった。

「ザ・サークル チューリッヒ国際空港」
コンペで勝ち取った設計。
10年間かけて完成した大作。もしかしたらこの作品がプリツカー賞につながったのか。
トランジットで一度だけ足を踏みいれたことがあるけれど、その時はまだ完成していなかった。
是非訪ねてみたい。
空港には、ホテル、オフィス、コンベンションセンター、病院、レストランなどが入る巨大複合施設。
チューリッヒの旧市街をイメージしているそうだ。
サプライズ、国際性、スイスらしさがコンペの審査基準になった。
コンペに参加するも採用されない設計がある中、山本理顕氏のコンセプトが結実した大作だ!
どの設計にもゆるぎないコンセプトがあり、信念を貫き通しているところが素晴らしい。
今回の展覧会で大ファンになった。

「桃園市立美術館」
2026年台湾で完成予定の美術館。
妹島和世の図書館とともに訪ねたい。ウィッシュリスト入り。

建築物
ホワイトキューブではなく、曲線を描く不思議な形の建物の中に展示室が配置されている。
丸くくりぬかれた窓、天窓から空やタンカーが行きかう海が見える。
高い天井が圧倒的な広さと空間の豊かさを感じさせる。


館内の螺旋階段がアクセントになっている。
写真ではその美しさの半分も伝えられない。実物を見てこそ良さが伝わってくる。
一番奥に配置されている図書館もまた白一色で洗練されていて落ち着いた空間だ。
残念ながら撮影禁止エリア。



目の前の東京湾と背景にある県立観音崎公園の小高い山を遮らないように絶妙な高さと位置に建てられている横須賀美術館。屋上から見るとよくわかる。
晴れた日には東京湾が一望できる。
白色と半透明ガラスの建築は周りの環境に溶け込んでいて見ていて心地よい。
お気に入りの美術館。また、来よう~。


併設展示
2階ギャラリーに無料で展示されている。
近隣の方は気軽に立ち寄れていいなぁ。

ミュージアムレストラン
この日は生憎貸し切りで入れなかったけれど、海を見ながらイタリアンをいただけるレストラン。
事前に予約するのがオススメ。
ランチタイムは美術館の鑑賞者以外も来るので結構混みあうのだ。

アクセス




アートっていいなぁ。今日も心豊かに。
