アート旅ブログのマチです。
松本を訪ねる目的の一つが谷尻誠&吉田愛内装設計の「松本十帖」をみること。
宿泊するとかなりのお値段になるけれど、日帰りで気軽に楽しむことができる。

建築物
浅間温泉で創業337年の老舗温泉旅館「小柳」。
後継者がいないということで後を引き継いだのが(株)自遊人の岩佐氏だ。
内装デザインはSUPPOSE DESIGN OFFICEの谷尻誠&吉田愛が担当し素敵なブックホテルに生まれ変わった。

コンクリート打ちっぱなしの内装に斬新な現代アートとイサム・ノグチの「AKARI」。

ロビーにも本がディスプレイされている。
本の置いてあるエリアにはブックディレクター幅允孝氏率いる「BACH」が厳選した本が並ぶ。
本を通して様々な問題が提起されている。
「BACH」は公共図書館など数多くの選書を担当している。

部屋には露店風呂があり共同の温泉施設も併設されているので、大浴場はユニークな図書スペース改造されている。
本のあるスペースはこの宿の魅力のひとつだ。
アート作品や作家の椅子が置いてある「本の道」を通って「げんせん本箱」へ。


階段をのぼり「おとな本箱」へ。
コンセプトは”本に溺れる”
アート、建築、ファッション、旅、食などいろいろなジャンルの本が並ぶ。
天井がガラス張りになっているのでインフィニティの空間が広がる。圧巻!
「げんせん本箱」手前の階段を降りると「子ども本箱」へ。
「こども本箱」に入ると迷路のような空間があり、ワクワクしながら読みたい本を探すことができる。
子ども図書コーナーの照明は「ケロリン」
カランもそのままデザインの一部になっている。
浴槽はボールプールに。子どもたちは読書やこの空間自体を楽しんでいた。

幅氏のセンスが光る。アートコーナーに「マーク・ロスコ」
思う存分読書を楽しめる。ヨギボーに寝転んでアート談義をするもよし、好きなジャンルの本を読みふけるのもよし。
本好きにはたまらない。

上が「松本十帖・本箱」下が「松本十帖・小柳」


「松本十帖・小柳」には、地元の小麦粉を使って作られたパンを販売するベーカリー「アルプスベーカリー」や長野県産のこだわり食材や雑貨を扱う「浅間温泉商店」が併設されれている。


宿泊者限定の「小柳の湯」は昔ながらで脱衣所と半露天風呂のみ。
シンプルに温泉だけを楽しむ。

温泉、食、本が楽しめる宿にイノベーションした「松本十帖」
一日かけてゆっくり味わいたい。



近隣建築
温泉街を再生するプロジェクトとして、(株)自遊人は空き家も買い取りカフェを開業している。
そのひとつが「CAFEおやきとコーヒー」
ここは「松本十帖・本箱 小柳」から150mの位置にあり、レセプションとしても活用されている。
2階はカフェとして一般のお客様にも開放されていて、美味しいコーヒーが飲める。
このカフェは東京・中目黒のハンドドリップコーヒースダンド「artless craft tea &coffee」とコラボしている。
おやきも美味。野沢菜とあんこの2種類がある。
1階は地元の方が利用している「共同浴場」になっている。


もう一つのカフェは「哲学と甘いもの」
コンセプトは”自分を見つめる、人生を考える”。
「松本十帖・小柳」から湯坂を上がって2分のところにある。
緑の屋根が特徴的だ。
ここは主に哲学に関する本が中心に置かれている。
内装設計は長坂常氏。落ち着ける空間でぼーっとしたい。

建築とアートそして、読書を堪能した一日だった。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。
