アート旅ブログのマチです。
松本方面から軽井沢に移動して再びアート鑑賞。
リヒター・ラウム

ヒリター・ラウムの存在を知ったのは、六本木ピラミデにある「ワコウ・ワークス・オブ・アート」を訪ねた時にスタッフさんから教えてもらったからだ。
軽井沢に行くなら絶対に訪ねたい!
調べてもらったところ、休館であることがわかりかなり落ち込んだ。
展示替え中で開館してなかったのだ。しかしながら、夕方からレセプションがあるということでアートの師匠の計らいで予約の上鑑賞させてもらえることになった。
本当にありがたい。観たいものを鑑賞されてもらえるなんて。
ゲルハルト・リヒター 御年93歳。
ドイツドレスデン出身、世界で最も注目を浴びる抽象画家。写真やデジタルプリント、鏡、ガラスなどの素材を使って多彩な表現に挑戦してきた作家だ。
いつも違った側面を見せてくれる。

抽象画は何層に塗重ねられた絵の具を「スキージ」という長細い大きなへらでのばしたり、削ったりして複雑な模様を生み出して制作される。色の重なりが様々な表情を出して素敵だ。


「シルス・マリア」
リヒターの自宅に写実主義クールベの風景画と並んべて飾られているそうだ。
まさにリアリスム。
1960年代に集中的に取り組んだ「フォトペインティング」
写真をもとに写実的に描いている。超絶技巧。

「ベティ」
これも「フォトペインティング」のひとつ。ヒリターの描く人物は顔が描かれていないものが多い。
なぜか惹きつけられる。想像がかき立てられるというか。。
リヒターの娘が11歳の時に撮影された写真をもとに描かれている。成熟した女性のように見えた。11歳とは驚き。
「見えていないこと」を見ようとしている、と観る人に感じさせることがリヒターのコンセプトのようだ。

「グレイ・ミラー」
見るものすべての本当の姿はべつなのではないか、という好奇心から作られている作品。
軽井沢の窓外の景色やその日訪れた鑑賞者を映し出す鏡。
そこに映り込むものがアート。

「8枚のガラス」
ガラスが角度をつけて立てられているので向こう側がはっきり見えたり、ぼんやり見えたり、まわりにあるものが映り込んだりしている。
映し出されるものをコントロールすることはできず、一場面一場面はその時限り。

向こう側に見えているのは「6枚の写真」
リヒター自身がセルフタイマーを使って撮影した自画像。

ヒリターによる世界で唯一最大の屋外彫刻作品。観たかった作品のひとつ。
ストリップシリーズの集大成 「ストリップ・スカルプチャー・カルイザワ」が中庭に置かれている。
色そのものを抽象的に扱っている。
どの角度から観ても美しい!
スタッフさんの声かけにより和光オーナーが登場して、様々な内輪の話をしてくださった。
90年代まだ世に知られていなったリヒターを見出して、作品を買い集め小さな個展を開き、本まで出版したそうだ。リヒターの魅力にいち早く気づいた先見の明に脱帽。
もう一度
アウシュビッツ収容所を題材にした「ビルケナウ」鑑賞してみたい。
できることなら、ドイツケルン大聖堂を再訪してリヒターが制作したステンドグラスを味わいたい。
瀬戸内芸術祭豊島での「14枚のガラス」は今年見られますように。
☆アクセス

田崎美術館
<洋画家田崎廣助の墨、水彩画 展覧会>
田崎廣助は福岡市八女の出身の洋画家で師範学校を卒業後、同じ九州出身の坂本繁二郎に師事し研鑽を積んだ。教員をしながら制作を続ける。二科展出品後、渡仏しサロンドートンヌを受賞海外でも認められるようになった。
戦後は第二の故郷軽井沢にアトリエを構え、浅間、蓼科、八ヶ岳、阿蘇などの山々を描いた。
今、アートボランティアで研究している井上三綱の経歴と似ていて驚いた!同時代の画家なので一緒に学んでいたのではないかと、思ってしまった。
美術館は自己の作品を永久保存展示するために作家の遺志で作られた。

建築を目当てで訪ねたと告げると、受付スタッフさんが歓迎してつきっきりで作品を解説してくださる。
スタッフさん自身が作家さんのファンであることがわかるような熱心な解説で人となりと作品について理解できた。
植物を描いた水彩画や阿蘇などの山々を描いた山岳シリーズは色彩、描き方とともに素晴らしい。

建築設計は原広司氏。
積乱雲の屋根と幾何学的な壁面構成で、軽井沢の風景に合っている。原広司氏の目指す建築を余すところなく再現されている。(原さんの構想で自由に設計してよかったらしい。)
建物は中庭を囲む回廊式になっていて、昭和61年日本建築学会賞を受賞している。

木のように柱が配しされている。天井部の飾りも形は雲。
展示室ではサザンが演奏したことがあるそうだ。
床が一部剥がれているのはその時の機材運びの結果だそうだ。


☆アクセス
長野新幹線「軽井沢駅」より車で10分
しなの鉄道「中軽井沢駅」より車で3分 徒歩20分
軽井沢ICより車で20分
佐久ICより車で30分
軽井沢現代美術館
2回目の訪問になる。今回訪れたのは2025年9月で閉館すると聞きつけたからだ。
運営元の海画廊の経営は引き続き行われるそうだ。
それにしても、残念。現代アートの宝庫、名だたる作家の作品を網羅している。
自然の中に溶け込むような低層の佇まい。建築設計はモダニズムを代表する巨匠菊竹清訓による。
建物は解体されてしまうのか、日本のスクラップ&ビルドの現実からみて仕方のないことかもしれないけれど。。どうか保存されますように。


企画展「海を渡った画家たち」~フィナーレ
パリに渡った画家たちの作品を展示する企画。
パリの「アンフォルメル」に触れながら、独自の幾何学的作風を確立させた菅井汲、堂本尚郎などの作品がある。
鉄の輪っかの作品は青木野枝の彫刻。
今年の春、庭園美術館での展覧会は壮観だった。
マチブログを参照ください。美しき宮邸 東京都庭園美術館

奈良美智さんの少女は表情が様々で女の子の気持ちを想像する。
おでこちゃん。

東恩納裕一作品
日常生活にあるありふれたインテリアをモチーフにした作品を制作している。2001年以降はサークル型蛍光灯を使って「シャンデリア」シリーズを制作。
明るい光を好む日本文化に対する賞賛と批判が入り混じっている。美しさとユーモアを表現したいそうだ。
コムデギャルソン香港のアートワークも手掛けている。
蛍光灯アートというと、ダン・フレイヴィンとフィリップ・パレーノを思い出してしまう。

段ボールにカラフル女子を描くロッカク・アヤコ。
筆を使わず、ネオンカラーの絵の具のついた指を直接キャンパスや段ボールに走らせる独特なスタイルで制作している。
その場で出会った要素を即興的に取り込みながら描き出される。とてもカラフルで生き生きとした作品が魅力的だ。

草間彌生の作品だけでなく、貴重な資料もある。
その他、村上隆、荒川修作、名和晃平、田中敦子、白髪一雄などの作品を鑑賞することができる。

素敵な美術館には螺旋階段。

館内の雰囲気もとてもよいのだ。

ミュージアムショップ。

出口のサイネージもおしゃれ。

2025年9月23日まで。
長野方面に行かれるのならオススメの美術館。

近隣アート
☆軽井沢千住博美術館
日本画家千住博の作品を専門に展示している。庭園と中庭があり、曲線を描くガラスの壁が特徴的でとても素敵な美術館。
美術館の設計は西澤立衛。SANAAとして妹島和世とともに設計している。
特に「滝」シリーズは大判の作品もあり、一見の価値がある。
今回は時間の関係で寄れなかったけれど再訪した。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。
