アート旅ブログのマチです。
軽井沢2日目。この日は午後のクラシックコンサートまでがアートタイム。
初めての私設美術館へ。
軽井沢安東美術館
2022年に開館した藤田嗣治の作品だけを展示する個人美術館。
創設者の安東泰志さんは長年藤田嗣治の作品を収集し、充実したコレクションをもつに至った。
自宅のようにくつろげるような美術館をつくり作品を公開したいという思いから美術館を建てたそうだ。
投資ファンドのオーナーである安東氏は「日々厳しい金融の世界で仕事をする中で、美術品を集め愛でることが癒しになった。」と、語っている。作品を収集しても公開しないコレクターが多い中、私財を投じて美術館をつくり一般に開放する心根が素晴らしい。


サロンでお茶を飲みながら安東美術館ビデオガイドを鑑賞し展示室へ。
コーヒー、ココアなどはチケット代金に含まれている。

館内の雰囲気はゴージャスでとても素敵だ。
ガードマンさんが写真撮影のルールなど丁寧に教えてくれる。
作品の撮影はOK。(ただし3枚以上で)



展示室ごとに壁紙が色別されていて、まさに邸宅といった雰囲気。

藤田嗣治
1866~1968年 東京生まれで東京美術学校(藝大)を卒業後、画家になる志で単身パリに渡り試行錯誤の末独自の画風を確立する。
藤田の代名詞「乳白色の下地」の裸婦像で有名になる。
第二次世界大戦では作戦記録画を制作したことで、戦争責任を問われて挫折を味わう。
失意のうちに渡仏しフランス人レオナール・藤田として晩年は穏やかに自分の制作を続けた。
フランスの地で81歳の生涯をとじ、自身の作品のある平和の聖母礼拝堂に埋葬された。

おでこの広い少女が特徴的。



藤田と言えば、猫!毛の一本一本までリアルに描かれている。

シャンデリアもまばゆく洗練された空間で、オランダのマウリッツハイツ美術館のような空間。
マチブログ 真珠の耳飾りの少女に会いに・・・ 合わせてご覧ください。


豪華な応接セットに腰かけてゆっくり鑑賞することができる。




レストランでランチもいただける。

アクセサリーやフレグランス、卓上のオブジェなどショップの商品も素敵。

ランチは併設されているHARIO CAFEで。
ピロシキとチーズケーキをいただき、久しぶりのクラシックコンサートに向けてお腹を満たす。
HARIO CAFE なのにミルクティーをオーダーしてしまった。たまに失敗するマチ。
TEAも美味しかったけれど。


この日は、お散歩がてら軽井沢駅から歩いて移動。
軽井沢大賀ホール
初めてのコンサートホールで
久しぶりのクラシックコンサート。
14歳の女の子が名門ベルリンフィルに招聘されヴァイオリンニストとして大舞台で演奏したことを知ってから興味津々でこの日を迎えた。
「Himari」ちゃん。
クラシック界では話題がもちきりのようで、朝からグッズを買い求める人の行列が見られた。
ZOZO創業者の前澤氏が自身が所有する1717年製の名器「ストラディバリウス」を「Himari」ちゃんに貸し出してくれたおかげで、各地でその演奏を聴くことができると聞きつけた。
いち早くチケットをゲットしたクラシックに精通する友人からチケットを譲っていただくという幸運がマチにもたらされた。幸せ者だ、ありがとうお友だち。

大賀ホールはソニー名誉会長である大賀氏が「音楽が似合う軽井沢には上質なホールが必要。」という思いから私財を投じて建設されたホールである。
どの席にも音が均一に届くように五角形の形をしている。


館内の照明オブジェはライティングで有名な石井幹子の「光響」
レインボーブリッジなどの照明も担当されている。



残念ながら、ピアニストKarlis氏体調不良で来日できず、代役は片田愛理さん。
演目は一部変更で、ショパンのノクターンが大ポロネーズに。とても力強いタッチで迫力の演奏。
応援する気持ちで聞き入る。
「ファウスト」の幻想曲は息を合わせての演奏。数える程しか合わせていないだろうにさすがプロ、素晴らしい演奏。
<アンコール>
・ショパン エチュード ピアノ
・イザイ 無伴奏ヴァイオリンソナタ ヴァイオリン 超絶技巧、14歳とは思えない。
・エイミー・ビーチ ロマンス ヴァイオリン
ブラボーの嵐、スタンディングオベーション!!
これからの二人の活躍に期待したい。
ストラドの深い響きを味わう素晴らしいコンサートだった。あらためてお友だち、ありがとう。

矢ケ崎公園
大賀ホールに隣接する公園。
ボールや遊具で遊ぶファミリーが楽しそう。
そんな中で軽井沢フォトフェストが開かれていた。
ご当地の風景や日常の1カットが作品となっている。

大自然の中で展示されるのもいいものだ。

脇田美術館
大賀ホールから徒歩15分の場所にある脇田和の作品を展示している美術館。
残念ながら、この日は休館。柵の間から拝見する。
美術館の基本設計は脇田氏。隣接しているアトリエは脇田氏の友人である吉村順三氏の設計。モダニスム建築である。想像するにメンテナンスも大変そうで維持されるか心配だ。


GALLERY SAKURANOKI
軽井沢通りを歩いていると目を引く建物。
吸い寄せられるように入ってみると、ギャラリストが迎えてくれる。
ただならぬ、洗練された空間。
「設計はどなたですか?」と、質問すると
「隈研吾さんのお弟子さんの・・・中村拓志さんです。」
「先生に会ったことがあります。狭山の礼拝堂も見学に行きました。」と、会話が盛り上がる。

天井に近い高い位置にある窓に何やら書いてある。
「有名な作家さんのサインなんです。おかげさまで窓掃除ができません。」
なるほど、ギャラリーのお宝だ。

ギャラリーの裏手も素敵で見させてもらう。
「この白いオブジェは作品ですか?」
「オーナーが家で使わなくなったものを持ってきたんです。たしか、徳仁とかいう方の・・」
「オリンピックの聖火トーチをデザインした吉岡徳仁さんですね!」と、さらに会話がはずむ。

帰り際に奥の手がでてきた。
「いろいろお詳しいので、ついでに、この照明は誰のデザインだと思います?」と、問題が出題された。
「北欧系の誰か?」
「いえ、日本人です。倉俣史郎さん。」
「なるほど、バブルのころのものだから、パーツが壊れると代替品を見つけるのに大変と聞きました。」
ギャラリストも深い話をどんどんしてくれて、大いに盛り上がった。
「今度は銀座の系列ギャラリーにもお寄りください。」と、ショップカードをいただいた。

趣味があるって素晴らしい。初めての出会いでも会話が弾むこと。
軽井沢での楽しいコンサート&アート鑑賞旅を終えてをあさまに乗り込み東京へ。
また、旅に出よう。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。
