アート旅ブログのマチです。
5年前くらいにBSフジで放映していた「アートフル東京」という番組で”ミス・ブランチ”を見てから倉俣史朗氏の大ファンになり、現在に至っています。
斬新でいて繊細。究極の美を目指すデザインにくぎづけになります。

今回は静岡に行く計画が持ち上がったので、現存する倉俣史朗作品 Bar Combleを再訪することにしました。
静岡 Bar Comble、真田屋、秋葉原のイーモンズカフェについて建築レビューを残したいと思います。
最後までお付き合いください。
倉俣史朗の世界
Bar Comble
静岡駅から5分ほどの呉服町。
街が賑わい始める19時、ワクワクする気持ちを抑えながら繁華街のビルの2階へ階段を上っていく。
おしゃれなロゴの看板が見えてきた。
お店のロゴ、内装は全て、戦後日本を代表するインテリアデザイナーの倉俣史朗氏によるものです。

おしゃれすぎてどう開けてよいか迷ってしまうドア。
取っ手がない。。。
この日は資生堂アートハウスの一般公開が終わってしまうことで、掛川&静岡建築ツアーを企画する建築ファンで予約がいっぱいという日。
先客は若者4人グループ。
興味津々で倉俣史朗氏のデザインに見入っている。

アルコールを受け付けないマチだけれど、飲んでる風を味わいたいので中山オーナーにノンアルカクテルをオーダー。
1回目の訪問で感激したマチは手紙を書いていたこともあり、中山オーナーは歓待してくださった。
ドリンクを待つ間、記憶を呼び覚ますように店内を見渡します。
前回もディスプレイされていた「オバQ」にミニ「オバQ」が加わっている。
この空間にはとてもしっくりくる照明。
赤い波打つスパンドレルに映えます。
カウンターの中には水回りも冷蔵庫もなく、ボトルの棚もありません。
あくまでも非日常の空間。


黄色いFRPテーブルは絶妙な曲線を描いて、店内のアクセントになっています。
この分厚いテーブルカウンターをガラス一枚で支えるというデザインセンス。
実際につくる職人さんの腕の見せ所。
螺旋状の家具は一目見て倉俣史朗とわかる特徴的なデザイン。

SFチックなドームも非日常の世界に誘ってくれます。
あるのは倉俣史朗デザインのスツールとテーブル。
テーブルの脚、ブルーのアルミパイプがアクセントになって空間を引き締めてくれます。



天井、壁、床一面に敷きつめられているのは桜色に塗られたOSB建材。
世田谷美術館の五十嵐久枝さんの講演会でも語られていたように、この素材に出会ったことで「繋ぎ目を見せない」空間を実現できたそうです。
「デザインとつくり手、その両方の信頼関係から生まれた空間だったのです。」と、中山オーナーは語られています。
田中信太郎と倉俣史朗 @世田谷美術館 も参照ください。

ドリンクの提供の合間に倉俣史朗氏イラストの原画を見ながら、一頻コンブレ建設当初のお話を聞くことができました。
当時のままを保ち、使い続けるのはプレッシャーもあり並大抵のことでないと思う。
全ては中山オーナーの心意気によるところ。
改めて感謝する気持ちになりました。

宙に張り巡らされている電線状の照明は張力に支えられていて、今も当初のまま保全されています。
どうようにしてこのデザインにいきついたのか倉俣史朗氏ご本人に聞いてみたかった。

店内入口のディスプレイされているのは「HAL2チェア」。
背もたれに金属を引き伸ばして網目状にした「エキスパンドメタル」を採用しています。
これはアーティゾン美術館に収蔵されている倉俣史朗氏代表作「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」にも通じる視覚的な軽やかさと構造的な強度を兼ね備えた素材です。

座面にはOSBボードが使われているところにも倉俣史朗氏のこだわりを感じます。
「HAL2チェア」は、カッシーナ・イクスシーがアーカイブから復刻したことで話題になしました。
復刻家具は過去を讃える記念品でなく、暮らしを豊かにするための道具でありたい。コンブレがそうであるように。
そんなコンセプトで復刻した「HAL2チェア」。
どこからどう見ても美しい!

滞在2時間。後ろ髪を引かれる思いで退店しました。
また、訪ねよう。
Comble bar 開店日などの詳細はインスタ をごらんください。
☆アクセス
JR静岡駅より徒歩7分


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真田屋 洋品店
コンブレのすぐ裏手の商店街にある洋品店「真田屋」も倉俣史朗氏が内装を手掛けていると、中山オーナーに教えていただきました。
その旨を告げ来店すると休憩中の店長さんが自ら店内を案内してくださいました。
当初から残るお店の扉の取っ手。
デザイン性を感じます。

この照明ひとつだけ当初のものが残されているそうです。
多分コンブレの照明と同じデザイン。

倉俣史朗氏のデザインした椅子
「アップルハニー」「01チェア」
曲線と直線の組み合わせ。

階段と壁面タイルも倉俣史朗氏の内装。
街のマダムお用達の洋品店。ノスタルジーにひたりました。

イーモンズカフェ
秋葉原でランチ。
平日限定なのでやっと訪ねることができたお店「イーモンズカフェ」。
コンブレと同時期に倉俣史朗氏が設計し、開店したお店です。
当時は「ピアチェーレ」という喫茶店でしたが、運悪くビルの火災で一部が焼失してしまい、その後再建し現在のカフェランチのお店になりました。

傘立てのデザインとアルミパイプの取っ手が倉俣史朗氏。

コンブレと同様の張力を使った照明。

椅子とテーブルも当初のものが残っています。


ランチがリーズナブルで美味しいのです。
この日食べたのは、和風ハンバーグセット。
ハンバーグが見えないほどの大量のしそ。付け合わせも美味。
倉俣史朗氏のことを知らないお客さんが9割とスタッフさん曰く。
秋葉原方面に来た時は寄りたいお店です。


イーモンズカフェ Xから詳細を確認ください。
住所:千代田区外神田3-13-12森山眼科ビル1階
アクセス:東京メトロ銀座線「末広町」駅3番口より徒歩4分
JR「秋葉原」駅より徒歩5分
営業時間:11:00~15:00
定休日:水・土・日・祭日
詳しくはHP参照ください。
まとめ
「名作を残すこと」と「日々の営みとして使い続けること」を両立させようという、中山オーナーの意志を強く感じるコンブレ再訪でした。
35年の歳月が流れても古びることなく感動を与えるデザイン。
この場に来なければ感じることができない空気感を若い方々にも存分に味わってほしいと思います。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。



