アート旅ブログのマチです。
平塚市美術館
中村正義展、後半の鑑賞です。

展覧会
第2会場
中村正義をよみ解く

松本竣介の「Y市の橋」などを思い出してしまった。同時代の作家だけど影響はなかったのか。
調べてみたくなる。少し物悲しい風景。
中村正義は本来セピア色を好んだ。

たびたび訪れた信州飯田の風景。
描き方は高山辰雄の影響があるように感じる。
茫洋としていてのんびりした田舎の暮らしぶりを想像する。

彫りこむような複雑な枝ぶり。描き方、画材など試行錯誤した時代の作品。

自然の景色だけでなく、家々がひしめく街の景色も好んで描いたようだ。
緑、赤、青など原色を使い、くっきりとした輪郭も特徴的な作品だ。
現状を打破するために原色を選んで制作した。

正義の風景画の傑作。澄み切った空気を画面から感じる。
白と青のバランスがとても良い。ずっと鑑賞していたい静寂な世界。
この頃写実的な画風に変わり、一度締め出された画壇にもどることができた。

陽のグラデーションが美しい。

洋のアザミはゴッホ、和のアザミは正義そんなことを連想してしまった。


絹谷幸二は正義の作品を観ていただろうか。
原色が使われた迫力のあるアネモネ。日展脱退直後の作品。


病気療養中の自画像。

人間の顔は「精神を含めた肉体全体の縮図で、無限の創造への素材」と表現している。
顔はその人の内面を反映するものである。正義の自画像は刻々と変化する。
使われている色も原色からくすんだ暗い色調の色まで様々だ。

月刊誌「20世紀」の表紙に描かれた「日本を動かす人たち」と題された肖像画。
大平正芳、福田赳夫、戸川昌子、三島由紀夫





南画を趣味とした父に幼い頃から水墨画の手ほどきを受けた正義が最後に遺した作品が水墨画だった。
この作品が絶筆となる。正義の心情を表しているようだ。
中村正義展前半は 生誕100年 中村正義展を参照さくだい。
☆よみがえる絵画
修復された川村清雄、藤田嗣治、鳥海青児・・・


美術品の劣化を防ぎ、できるだけ良い状態で保管していくことが美術館の重要な仕事だ。
修復の裏側を観ることができる。
修復の過程を紹介する貴重な展示となっている。
この他、松本節「無題」温室の花の絵、大沢昌助「夢みる少年」井上三綱「駆け出した牛」なども展示されている。
残念ながら撮影禁止なので、是非美術館へ足を運んで鑑賞を。
9月7日(日)まで。
館内彫刻


舟越作品はどこから見ても均整がとれている。

屋外展示も魅力的だ。

2階の中庭の作品。
アクセス
☆JR平塚駅から徒歩で約17分。天気のいい日は平塚八幡宮にお参りがてら歩くのがオススメ。
☆JR平塚駅 北口バスターミナル4番乗り場 神奈中バス 美術館入口下車
☆小田急伊勢原駅南口 神奈中バス平塚駅行き 美術館入口下車
☆小田急秦野駅南口 神奈中バス平塚駅行き 横浜ゴム前下車
近隣立ち寄り
平塚八幡宮

立派な明神鳥居。最上部が笠木と島木から成る二重構造になっている。笠木の両端が反り上がっていてとても美しい。

アートっていいなぁ。今日も心豊かに。
