アート旅ブログのマチです。
平塚市美術館で開催されている中村正義の展覧会に関連して、川崎市細山にある中村正義の美術館へ。
元々自宅兼アトリエだった所を美術館として作品を公開している。
知ればしるほど魅力的な作家であることがわかり、すっかり中村正義のファンになってしまった。


緑豊かな木々の奥に見えるホワイトキューブの建物。「直方体の森」と名づけられている。
設計は篠原一男氏。茅ヶ崎市美術館の設計を担当した山口洋一郎氏も影響を受けた建築家だ。マチブログ 茅ヶ崎市美術館 美術館建築も参照ください。
入口のチケット売り場では中村正義のお孫さんが対応してくれる。
上を見上げると天窓から光が差し込んでいる。細長い空間をぬけると、展示室が開ける。



薔薇の花のマチエールが素晴らしい。水色や青が赤いバラをひきたてている。
とても好きな作品の一つ。
中村正義常設展
突き当りには、一面自画像、圧巻の迫力。セピア色を好んだ正義が自分の殻を破るために用いた原色や蛍光色で描いた顔。顔にはその人のすべてが現れるという思いがあったようだ。

大きな窓から見える新緑がまぶしい。ゆったりとくつろぎながら作品を鑑賞できる。

描き方も様々。蛍光色が使われた作品はポップで現代アートのようだ。
自画像はなるべく売らずに自分の手元に置いていたので、これだけの作品が残っている。


この作品は絵の具をけずる技法を使っている。

テラコッタを使った作品。

描き方も様々。大仏のようにも見える。
あふれる才能。もっと描きたかったに違いない。

展示室にはアトリエの床が張ってある。

膠などの日本画の画材だけにとどまらず、ボンドなども使っていた。


同世代の画家との交流として「人人会」を結成して、活動を行っていた。

若き日の自画像。美術学校に通っていないにも関わらず才能があることがわかる。

テラコッタの作品も残されている。


同時開催されている平塚市美術館の生誕100年中村正義展は5月18日まで。
その後、奈良県立美術館に巡回する。関西方面の方も必見。
平塚市美術館の展覧会については、マチブログも参照ください。
生誕100年 中村正義展Part1 中村正義展Part2
館長である娘の倫子さんは「平塚市美術館にも通っていますよ。お会いできるかもしれませんね。」と、おしゃっていた。退館時にお話しすることができてよかった。
残された家族が作品を守り後世に伝える気持ちがあるから、私たち鑑賞者も素晴らしい作品を観ることができる。
中村正義が命がけで描いた作品をこれからも大切に守っていただきたいと思った。
鑑賞できることに感謝。
香取宏幸×中瀬俊介 二人展
2階の展示もとても興味深かった。
春雨のかたち 二人展
香取宏幸さんは竣介さんの学友。そのつながりでこの美術館で展覧会を開催することになったそうだ。
香取さんは東京出身で都内で個展は2回行っている。新制作協会彫刻部会会員で新制作展で新作家賞を受賞している。


「そりとむくり」と、つぶやく友人の声に「澄川喜一先生の会に所属しているのです。」と、すかさず答える香取さん。
着眼点が素晴らしいと感心してしまった。なめらかな曲線が美しい。
9月に国立新美術館の展覧会に出品するとのこと拝見しよう。

支持体が母子像に見えてくる。

炭とレジンを組み合わせている作品。炭の筋目を雨に見立てている。
炭の輝きで「夜」を、柾目の自然な線を「雨」として「夜雨」シリーズを制作している。


波打つ曲線が何とも言えない表情を出している。

大判の作品。木に割れ目を施してから焼く作業に入る。時間、天候によって見え方がかわるところが良い。これから注目していきたい作家さんだ。



中瀬さんの動画作品の撮影を忘れてしまった。動画を写真におさめる習慣がないこともあって。。
中瀬さんの作品は香取さんの作品制作過程を動画に撮り編集加工するものだった。
コンサートの映像や企業広告の仕事に携わっている方だ。若者の才能って素晴らしいなと、つくづくと思った。

美術館の庭で作品のもとになる炭を焼くそうだ。
追記 (平塚市美術館後期展示)
平塚市美術館で開催されている展覧会の後期展示を鑑賞してきた。
これがまた素晴らしい!

思わず接写。人物一人ひとりの表情しぐさなど見入ってしまう。

炎の描き方を観ても高い技術力がうかがえる。



セピア色だけで描く自画像。色合いがとても良い。
この日は家族4世代で鑑賞した。
母は鑑賞する視点が鋭い。薔薇の作品がお気に入りだという感想。
娘は久しぶりのアート鑑賞でちょっと戸惑い気味の様子だったけれど、鑑賞後に夫婦で語り合っていた。
婿殿は自分でも絵を描くので、感心が高く丁寧に時間をかけて鑑賞していた。「うしろの人」の印象が強かったようだ。
お孫ちゃん、「イト」 ノミの夫婦を楽しそうに見ていた。気になることはマチに質問してきて、子どもは細かいところまでよく見ているなぁと、感心してしまった。
各々心に残る作品の印象を家にもちかえり反芻する時間もとても貴重だと感じた一日だった。
アクセス
中村正義の美術館



近隣のギャラリー
☆special source atelier gallery
アートの師匠に教えてもらった通り目的地近くに立ち寄れるところがないか必ず探すこと。
教えを守って、検索してヒットしたギャラリー。
細山から30分の久地へ。

近所のおばさまに聞いてもわからない、知る人ぞ知るギャラリー。
佇まいを観て納得。
素敵な雰囲気を醸し出している。

モリソン小林さん、中村大介さんのアトリエ&ギャラリー。
この日在廊していた中村さんが案内してくれた。

ライティングされている作品を観て思ったこと。
須田ちゃんの作品?
すかさず中村さんが「金属でできている作品なんです。金属だと細く繊細な表現ができるんです。」と解説してくれる。なるほどよく見ると金属だ。虫食いの痕も再現されていて、木の須田ちゃん、金属のモリソンさん、ともにさすがの力量。

2階のギャラリー。
窓枠、床、壁などの内装も二人でこだわって整えているそうで、すべてがしっくりと合っていて作品を引き立てている。



流木を加工して作品を制作しているのは中村さん。


ライティングも洗練されている。

流木と理科で使われるロートを使って作られた照明器具。



この日は常設展だった。
モリソン小林個展 自然礼賛「絶滅危惧種」
2025年7月5日(土)~7月19日(土)開催される。
是非再訪したいと思う。
素敵なギャラリーを発見した嬉しい一日だった。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。