アート旅ブログのマチです。
新宿の街がテーマになった展覧会に惹かれて、久しぶりにSOMPO美術館へ向かった。
アートのお友だちオススメの展覧会に期待が高まった。
展覧会の様子、SOMPO美術館のコレクション作品や基本情報についてお伝えします。

SOMPO美術館
日本初の高層美術館として1976年に開館した「東郷青児美術館」が前身で、2020年に「SOMPO美術館」に生まれ変わり今に至っている。
外観は柔らかな曲線と垂直面が特徴的で新宿のアートランドマークとなっている。
建物は収蔵する東郷青児の作品をモチーフにしているそうだ。

モダンアートの街 新宿 展覧会

ポスターは松本竣介の「立てる像」いつ見てもカッコイイ。堂々たる姿。

展覧会の構成
Ⅰ章 中村彝と中村屋サロンールーツとしての新宿
Ⅱ章 佐伯祐三とパリ/新宿ー往還する芸術家
Ⅲ章 松本竣介と綜合工房ー手作りのネットワーク
Ⅳ章 阿部展也と瀧口修造ー美術のジャンルを越えて
Ⅰ章から順番に鑑賞する。
中村彝「静物」
椅子の上に小さな布を敷き、その上に花瓶を置いている。
バックの柔らかい布の質感が感じられる。
中村彝は画業を志す中、新宿中村屋の裏のアトリエで制作に勤しんだ。
描くことに熱中するあまり食事もろくに摂らなかった彝を心配した中村屋の創業者相馬夫妻は度々食事に招いたというエピソードが残されている。

中村彝 「カルピスの包み紙のある静物」
持病が悪化していく中で創作に適していたのが静物画。
お見舞いにもらったカルピスがお気に入りで水玉模様の紙をテーブルクロスのかわりに敷いている。

里見勝蔵「職工」
人物のうちに秘めた強さ、真面目そうな性格が表れている。
フォービスムのヴラマンクの影響を強く受けている。
パリから帰国後は佐伯祐三、前田寛治らと交流し活動した。

岸田劉生「武者小路実篤像」
新宿ゆかりの作家武者小路実篤と交流があったようだ。
岸田劉生本人の自画像ともよく似ている気がする。

佐伯祐三「立てる自画像」
とてもユニークな自画像。表情がパレットナイフで削り取られているのが疑問?
痛々しい。

佐伯祐三「雪景色」
フォーヴィスムのヴラマンクの影響を感じる。
ヴラマンクからアカデミックな作風を越えるようにアドバイスをもらって、作品がどんどん変化していく。

佐伯祐三「壁」
描き方にこだわっている。
文字を描き込むのが特徴的だ。味わいがある。

東郷青児「ピエロ」
東郷は佐伯と同時代にパリで制作をしていたという点で相通ずるものがある。
ピエロはエコール・ド・パリの作家が好んで描いたモチーフ。
シンプルな形で表現している。

木村荘八「新宿駅」

東郷青児「黒い手袋」
シンプルな形と抑えた色合いにデザイン性を感じる。
東京海上火災(損保ジャパン)のパンフレットに採用された作品。

桂ゆき「冠」
コラージュの手法で描かれている。
下部には横顔がふたつ、ダブルイメージのようだ。

松本竣介「N駅近く」
1938年頃から街を独特な視点で描いている。遠近はまちまちで様々なモチーフが画面に組み合わせて描かれている。「モンタージュ」という手法だ。
温かみのある茶色系の色遣いもなんとも言えずよい。
N駅とは西武新宿線の中井駅のこと。

松本竣介「立てる像」
竣介が手掛けた最大の自画像。
新宿の街中で仁王立ちする姿は堂々としてるが、目に不安な気持ちが表れている気もする。
新宿の街の描き方にも注目したい。力作!
犬小さい。人物の大きさを強調するためか。

刑部人「我庭 冬」

鶴岡政男「死の静物(松本竣介の死)」
夭折した松本竣介のデスマスクを描いている。
線は荒々しく深い悲しみを感じる。

寺田政明「ひまわり」
寺田は池袋に移住し、松本竣介や池袋モンパルナスの作家と交流した。
早くからシュールレアリスムに関心をもって作品を制作していた。

阿部展也「骨の歌」
フィリピンの従軍から復員し、板橋をへて下落合にアトリエを構えた。
抽象表現に移行していく。

芥川沙織「女」
女シリーズの代表作。
空をつかむかのような手ぶりと逆立った髪が特徴的だ。
ろうけつ染めの手法が使われている。

コレクション作品コーナー
東郷青児「超現実の散歩」
日本のシュールレアリスムの原点とされる作品。
「散歩のつもりで超現実派の試運転をやった意味だ。」と、東郷青児自身が語っている。
本作の人物はSOMPO美術館のシンボルマークになっている。
フォルム、動きといいデザイン性があって素敵だ。

フィンセント・ヴァン・ゴッホ「ひまわり」
東郷青児作品とともにSOMPO美術館のマスターピース。
1888年、パリから南仏のアルルに移ったゴッホは、ゴーギャンの到着を待ちながら<ひまわり>の連作に取り組んでいた。
今作はロンドン・ナショナルギャラリー所蔵の<ひまわり>をもとに描いた作品で、色彩や明度、タッチの研究のあとが見られるそうだ。
一輪一輪が主張しているように見えるなぁ。
ゴッホのお宝作品が日本にあることが誇らしい。
確か42階に展示されていた時に母が連れてきてくれたことを思い出した。
アート鑑賞の素養をさずけてくれた両親に感謝している。
一生ものの趣味があることで毎日豊かな気持ちで過ごすことができている。

戦前、戦後の新宿にまつわる素晴らしい作品を鑑賞できる貴重な展覧会だった。
基本情報
開館時間 10;00~18:00(金曜日は20:00まで)入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日 1月13日(ただし1月12日は開館)
鑑賞料 展覧会のよってかわる可能性あり

詳細はSOMPO美術館 HPをご覧ください。
アクセス


駐車場はないので近隣のパーキングをご利用ください。
まとめ
今の新宿の街はごちゃごちゃしていてちょっと苦手だけど、昭和初期は芸術家がアトリエを構えお互いに切磋琢磨し研鑽をつんだ歴史がある場所だったことが伝わってきた。
アートは今までの人の暮らしも写しだす側面もある。
深いなぁ~。
アート鑑賞はやめられない。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。
