アート旅ブログのマチです。
仕事が早めに終わったので、この日の寄り道はアーティゾン美術館。
OL時代に仕事終わりに一人印象派の作品を鑑賞して、リフレッシュした思い出の場所。
当時は本社ビルの2階部分に配置されていた美術館が今では6階全てが美術館になっている。
石橋財団の懐の深さを感じます。
アーティゾン美術館のコレクションのひとつであるエットレ・ソットサス展にを紹介します。
最後までお付き合いください。
アーティゾン美術館
2019年に地上23階建ての複合ビルミュージアムタワー京橋として建て替えられました。

カラフルなアクリルパネルが目を惹く美術館前。

足早に6階展示室に向かいます。
田中信太郎「ソノトキ音楽がキコエハジメタ」1986年
展示室前のこの空間が大好きでなかなか入れない。

倉俣史朗「Glass Bench」
三日月形のガラス素材のベンチ。
フレームとガラスのみの美しい作品。
座ってよいアート作品は貴重です。

こちらも座り心地抜群。

倉俣史朗「How High the Moon」
金属の網目 エキスパンドメタルで作られた銅メッキ仕様の2人掛けのソファ。
意外と座り心地もよい椅子なのです。
優雅な気分になります。
曲線と直線が美しい。

企画展 エットレ・ソットサス
~魔法がはじまるとき、デザインは生まれる~
エットレ・ソットサスは20世紀イタリアを代表する建築家です。
1950年代末からオリベッティやポルトノーヴァといったイタリア企業のデザイナーとして活躍しました。

「モービル MS.180」
「ルクレツィアフレーム」ソットサスがデザインした有名な女性の名を冠した家具のシリーズ。
ルクレツィアはルネサンス期のボルジア家の令嬢で絶世の美女として様々な分野の題材になっている。
1963年 ロイ・リキテンスタイン<泣く女>リトグラフとともに。

「モービル」
ポルトロノーヴァ社のためにデザインしたストライプ模様のサイドボードのシリーズ。
真鍮の筒形の脚が特徴。
真鍮の取っ手もかわいい。
赤、緑、黄のカラー展開が素敵。

ポスター「ヴァレンタイン」
オリベッティのタイプライターの宣伝用。

実際のタイプライター。
内部の構造を大胆に露出させたミニマルなつくりで持ち運び用のケースは椅子や机にもなる優れもの。
デザイン性抜群!そしてかわいい。

こちらはライムグリーンの加算機。
無機質なオフィスにポップな要素を取り入れている。
日常品の電卓でありながら上質な商品イメージで、コンパッソ賞受賞。

モダンなストライプ模様の家具。

「トーテム」「オダリスク」のシリーズ。
ソットサスは巨大陶器を初公開する展覧会を1967年に行っています。
色遣いがポップで見ていて楽しい気分になります。


「メタファー」より「人間の運命のためのデザイン」
1970年代 デザインを巡る放浪。
ソットサスはイタリアでも安定した生活を捨てて、スペインカタルーニャ地方に放浪の旅をする。
旅をしながら、建築、デザインをめぐる思索にふけって空想的な建築を木や石で再現して写真に撮影しました。
のちに「メタファー」というシリーズになった作品群です。


1960~70年代にかけてラディカル・デザイン運動の影響を受けながら実験的なデザインで名声を得ました。
「ダイニングチェア」
スタジオ・アルキミアのコレクション「バウ・ハウス」のためのデザイン。

1981年には国際的なデザイナー集団メンフィスを結成して、革新的なデザイナーという名声を不動のものにしました。
「カールトン」
1981年メンフィスのコレクションの一点。メンフィスのもっとも知られているアイコニックなデザイン。
四角い頭を持つロボット。
台座にプリントされているのは、有名な装飾パターン「バクテリオ」。
右の作品は「カサブランカ」。


ライトアップされる不思議な空間。
「アクロポリス」

「マンダリン」

倉俣史朗「トウキョウ」1983年。
デザインから解放された~という時代の作品。
倉俣史朗はソットサスに誘われてメンフィスのメンバーに加わりました。
カラフルな透明ガラスの破片入りのテラゾー(人口大理石)で作られています。

メンフィスという名前は、グループ結成の契機となった会合で偶然流れていたボブ・ディランの「メンフィス・ブルース・アゲイン」に由来します。
日本からは、倉俣史朗、梅田正徳、磯崎新が参加していました。
色彩、形態、素材、装飾パターンを用いて既成概念にとらわれない家具を生み出しました。
「マラバール」
様々な素材を使い分けている。斬新なデザイン。
青いアルミパイプと台座の幾何学模様に注目してみます。

メンフィス展に発表した「花瓶」シリーズ。
カラフルで斬新な形も素敵。
ディスプレイの仕方もいいなぁ~。

花瓶というより顕微鏡に見える。斬新形と色。

試験管に組み合わせにも見える。


石橋財団 コレクション選
1870年代から1940年代までのフランスを中心とする西洋と日本の美術品26点を紹介するコーナーです。

カミーユ・ピサロ「四季 夏」
彼方に見える木々とどこまでも広い空。
雲の描き方がとても良い。

オーギュスト・ルノアール「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」
マチはこの少女と誕生日が一緒。
元アーティゾン美術館学芸員の貝塚さんの教えてもらった。
可愛らしいお顔に足を組むポーズ。
ギャップがいい。

ギュスターヴ・カイユボット「ピアノを弾く若い男」
カイユボット、こんなに写実に描く時代があったとは。。。

ジョルジュ・スーラ「平底舟」
点描があまり細かくない作品。
色の組み合わせに惹かれます。優しい画面。

藤島武二「黒扇」重要文化財
粗いタッチで女性の表情を描いています。

青木繁「海の幸」重要文化財
青木繁 内縁の妻 福田たねさんの顔も見える。
1人だけ、カメラ目線。

ジーノ・セヴェリーニ「金管奏者(路上演奏家)」
好きなキュビスム。青、黄色にフォーカスする。

古賀春江「鳥籠」
実験室のような空間に囚われた女性。
女性が社会進出していない時代の象徴なのか。

ジョージア・オキーフ「オータム・リーフⅡ」
葉の形と紫から赤へのグラデーションが美しい。

松本竣介「運河風景」
元学芸員の貝塚さんに解説していただいた「運河風景」。
松本竣介氏を知るきっかけになった思い出深い作品。
まっすぐな電信柱と建物の外壁のマチエールがなんとも言えない味を出しています。
水面のリフレクションもいい。


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瀧口修造展
瀧口修造~書くことと描くこと~
昭和期を代表する詩人にして美術批評家、瀧口修造氏のデッサン、絵画などの作品が展示されています。瀧口修造氏は、1920年代 シュールレアリスムの影響下にたくさんを作品を制作しています。

1960年代に本格的に試みるようになった「デッサン」と称する造形作品の制作。
多様な実験的技法による瀧口作品。


「手づくり諺」ジョアン・ミロとともに
日本語版

こちらはスペイン語版

瀧口修造 関連作家の作品
山口勝弘「ヴィトリーヌ 昇天」
ヴィトリーヌはモール・ガラスを用いた作品の固有名詞で、絵画とオブジェの両棲類。
絵画というよりオブジェの要素が強いように思う。

パウル・クレー「小さな港」
ざらざらとした質感、青と緑と黄土色の組み合わせ、象形文字のような記号。
クレーの特徴がすべて見られる作品。
”クレーは、ついにひとつの新しい表意文字に達したのだから。それがひとりの西欧の画家によって。砂漠の長い道程のすえに。”「パウル・クレー論 クレーはここにいる」「パウル・クレー」より

コンスタンティン・ブランクーシ「ポガ二―嬢Ⅱ」
静岡で見てきたばかり。
髪の毛のドレープ、たれ目の切れ込みに注目して鑑賞する。
”彼の特殊な要素としての光沢を見逃してはならない。この光沢は古典的彫刻の質感とはまったく異なったもので、むしろ近代的な金属家具のそれにちかいとさえいえる。”
「現代彫刻の一断面」「現代藝術」より
静岡県立美術館 升目描きの若冲作品とともに鑑賞してきました。

マルセル・デュシャンあるいはローズ・セラヴィの、または、による(トランクの箱)シリーズB
レディメイド(既製品)作品。
デュシャン自身はどんな美的概念にも無頓着であったそうだ。

村井正誠「子供」
抽象と具象の組み合わせ。
とても力強い線が特徴的。

浜口陽三「8つのくるみ」
会場のライトが緑に映り込んでしまっているが、実際の作品は真っ黒の画面。
その上にころころと並んだくるみのかわいらしさに微笑ましく鑑賞しました。
くるみの形とごつごつとした質感、黒いインクの深さがたまらなくよい。

クリスチャン・ダニエル・ラウホ「勝利の女神」

荒川修作「クールベのカンヴァス№2」
知覚や認識の構造を問い直す「図形絵画」の代表作。
固定概念を解体して人間の認識の枠組みを揺さぶるねらいがあるようだ。

ジャスパー・ジョーンズ「薄雪」
上から白く塗られているのが雪とはわからなかった。

靉嘔「フロム・ザ・ディクショナリー」シリーズ
シルクスクリーン
人間の目に見える光のスペクトルこそが唯一信じられるというコンセプトからカラフルな作品を制作しています。

元永定正「無題」
カラフルなしゃもじが溶けていくような不思議な絵画。
背景のにじみがいいなぁ。

吹き抜け部分を見上げる画角もすてき。


エットレ・ソットサス展、石橋財団 コレクション選、瀧口修造展 ともに2026年10月4日まで。
基本情報



アクセス

まとめ
改めてアーティゾン美術館のコレクション作品の層の厚さを感じました。
メセナ活動とはかくあるべきという見本のようなコレクションでした。
合理主義や機能主義一辺倒だったモダンデザインに疑問を投げかけ、鮮やかな色彩やユーモアあふれる形を取り入れた「ポストモダンデザイン」の作家 エットレ・ソットサス。
系統だった展覧会を鑑賞するのは初めてで、色彩やデザインを存分に楽しみました。
アート・デザインの歴史の1ページを垣間見ました。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。

