アート旅ブログのマチです。
東日本大震災の遺構を訪ねたいと思い、旅を計画すること三回。
家庭内の事情や熊の出現やらで取りやめになり、今まで縁のなかった東北地方をようやく訪問することができました。
まさに、三度目の正直。
陸前高田への旅
一関駅~気仙沼駅までをつなぐ大船渡線。
JRだけれどこの区間はICカードが使えないので、事前に切符を買うか後から現金・クレカで支払うかの選択になります。

2両編成
一ノ関駅を出発するといきなり牛が放牧されている窓外の景色に出会う。
とてものどか。
新月(にいづき)千厩(せんまや)など情緒豊かな駅名が多く電車旅の気分が上がります。

東日本大震災の被災者や子どもたちを元気にする復興支援の目的でピカチュウがあちこちにいます。


気仙沼からは、BRTに乗車。
BRTとは、東日本大震災で被災したJR大船渡線の鉄路を専用道として活用したJR東日本が運航する高速バスシステム。
津波発生時に高台に避難しやすいメリットがあります。
若い人がスーツケースをもって乗車しているのを見かけました。どこに向かっているんだろう。
「奇跡の一本松」駅まで35分ほどBRTに乗ります。
かつて瓦礫の山であったところもきれいに整備されて、専用道路も出来上がり時間はかかるもののスムーズに移動できます。
このようになるまでに、相当な苦労があったのだと想像します。


東日本大震災遺構をたずねる
「髙田松原津波復興祈念公園」
BRTを下車すると目の前に「髙田松原津波復興祈念公園」があります。

設計は内藤廣氏。
東日本大震災の祈りの場として、震災遺構を含む道の駅、伝承館を包含した場が造られました。
水盤とトップライト
「祈りの軸」と「復興の軸」が交わる部分に水盤が設けられ、屋根の上から自然光が水盤を照らします。
水により津波を想起させ、光により未来に向けた復興を感じさせる場です。
来場者の気持ちを静める意味がこめられています。
大屋根のファザードは祈りと鎮魂の意味をこめて、白い一本のラインで清楚な美しさを得るようにデザインされています。
ホワイトコンクリートのパネルには間接照明が設置され、あいた穴の数は東日本大震災の被災者の数を表現しています。
夜間は点灯します。



海につながる真っすぐな道。
東日本大震災の犠牲者の方々に思いをはせながら向かいます。
<献花の場>は祈りの軸と奇跡の一本松~タピック45を結ぶ線の交点に位置しています。

<海を望む場>
海の目の前には献花台が設置されています。
鎮魂の祈りを捧げます。
大切な方をなくされた人にとっては、辛い場ではないかと心情を察します。
祈りの軸の終点として、津波が押し寄せた広田湾や再生していく名勝髙田松原や郷土の山々を広く望むことができます。


使われなくなったユースホステルがあったおかげで唯一残った<奇跡の一本松>
復興のシンボルとして大切にされています。
一度枯死しましたが、寄付金を募り現状の形で再整備されました。

奇跡の一本松以外の70000本の松は全て津波の勢いで倒れてしまいました。
新しく40000本の松が植えられ、成長を待っているところです。

「道の駅 髙田松原・東日本大震災津波伝承館」
先人の英知に学び、東日本大震災津波の事実と教訓を世界中の人と共有し自然災害に強い社会を実現することを一緒に目指しています。
<津波の被害>
津波の高さ 9.3m
浸水高(痕跡高)24m
遡上高 39.4m
浸水面積 561㎢
最大震度 7 世界で4番目に大きな地震
『歴史をひもとく』
『事実を知る』
『教訓を学ぶ』
『復興を共に進める』4つのコーナーから成り立ち、被災した車の展示、津波の映像などから当時の様子を知ることができます。
印象的だったのは、震災直後からとられた くしの歯作戦。
沿岸部への救命・救援ルートを確保するために国交省が実施した道路啓開の取り組みがあって被害の拡大をさけることができたという事実です。

「道の駅 髙田松原」
内装も落ち着いた雰囲気で素敵でした。
髙田松原地区の名産が並びます。
イートインコーナーもあり心惹かれたのですが、1時間に1本のBRTに乗りたくて立ち寄れませんでした。残念。


「髙田松原物産館の一部」 震災遺構
百聞は一見に如かず。津波の恐ろしさを肌で感じます。

「タピック45 (旧・道の駅)」
赤い部分まで津波がきました。

見学ガイド同行で館内を見学することができます。

伝承館をサイドから見た様子。
シンメトリーで安定して、落ち着いた印象を受けます。

BRTの次の停留所で下車して、陸前高田地区に向かいます。

「みんなの家」 伊東豊雄 乾久美子 平田晃久 藤本壮介設計
4人の建築家による共同設計の集会所です。
月曜日だったから?あいにく閉まっていました。
津波の塩害で立ち枯れした杉の丸太19本を柱に階段をらせん状に外周を回すように設置した木造2階建ての建築。
キッチンのある土間、縁側もありくつろげる空間があるようです。
最上部からは太平洋が見えて、この地域のひとだけでなく訪れる人にも開かれた場になることを目指しているようです。

「陸前高田市民文化会館 奇跡の一本松ホール」
コンサートや講演会が行われるホール。
令和2年に開館しました。

「陸前高田市立図書館」 SALHAUS設計
中心市街地のかさ上げ地に建てられています。商業施設と連携して市民が利用しやすいように工夫して建てられています。
全体的に木材を基調とした温かみのある印象を受けます。
白く丸い部分がかわいい。


「陸前高田市立博物館」 内藤廣設計 2021年竣工
髙田松原津波復興祈念公園の中に含まれる施設です。
こちらも月曜日で閉館中。
外観はチタン合金板のㇵの字の大屋根と岩手県産スギ材を用いた裳階(もこし)風の庇が特徴的です。
内部は2階建てで1層ごとの階高が大きく、建物の高さは14mあります。
スギ材と細い鉄骨を使っているので、迫力があるけれど圧迫感は感じない絶妙なバランスを生み出しています。

大きく張り出した庇。


庇の下には地元の民家で使われていた古材が再利用されています。

ㇵの字型の屋根は展望デッキを囲うように造られています。

追悼の場が設けられています。


「陸前高田アムウェイハウス まちの縁側」 隈研吾設計

陸前高田の中心部に建つ複合型コミュニティー施設。
観光案内所や社会福祉協議会の相談窓口、障がい者就労支援カフェなど置かれています。
中央には長屋門と呼ばれる大きな孔をあけ、門から展望デッキに昇れる外部スロープを取りつけています。
海と陸、空をつないでいます。

内部の壁には気仙杉を多く使い、皆川明氏デザインの布をあしらったカーテンや家具が配されています。
何とも優しい雰囲気で癒されます。

ミナペルホネンの生地 タンバリン。

床のコンクリートには貝がらが埋めこまれて海辺の町の雰囲気を醸しだしています。

作業所のスタッフさんにいれてもらったカフェラテで一息つきます。
ショウガクッキーが美味しかったので購入。
おやつにいただきます。

陸前高田出身のヒーロー 佐々木朗希の記念マンホール。
故郷の期待を背覆って、大リーグで頑張ってもらいたいです。

アクセス
☆公共交通機関
関東から
東京駅~一ノ関駅(新幹線 はやぶさ)
一ノ関駅~気仙沼駅(JR大船渡線)
気仙沼駅~奇跡の一本松駅(BRT)
4時間40分 乗り継ぎを調べて計画的に移動することをおすすめします。
☆車
常磐道~三陸縦貫道を使って6時間あまり
まとめ
建築めぐりというより、震災にあわれた方々のもとを訪れたいという気持ちで赴いた岩手と福島。
地元の方々との話の中で、「以前に比べて人口が減ってしまった、奥地に行った人はもう戻ってこない。」「復興支援もここまでで終わりだ。」という、言葉が聞かれました。
活気をなくしてしまった被災地が元気を取り戻すように何をすればよいか改めて考えました。
離れていても忘れない、機会をつくって再訪する。
東北の食材や製品を積極的に買うことなど遠くからの支援もしていきたいと思います。
