アート旅ブログのマチです。
久しぶりにあずさ号に乗って新緑の信州方面へお出かけ。
いわさきちひろ美術館

昨年から注目している建築家内藤廣の建築を追いかけて、安曇野に向かった。
2020年に安曇野アートラインは電動自転車で廻ったのだけど、電動自転車では限界があってちひろ美術館を残していた。

雪渓の残る美しい北アルプスをバックに山の稜線と呼応する美術館。
自然の中に溶け込むような建築を目指す内藤廣のコンセプトを体現している。
景観ごと美術館!
安曇野いわさきちひろ美術館はちひろ美術館・東京開館20周年を記念して建てられた。
松本はちひろさんの故郷で、たくさんのスケッチをした場所であることから美術館設置の候補となった。

神奈川から来たことを告げると、受付スタッフさんが来館を歓迎してくれる。
高い天井や柱にはこの土地で取られたカラ松が使われていて木材の良いにおいが漂っている。
窓外の緑も美しい。

下石神井にあるいわさきちひろ美術館・東京の設計も内藤廣。
こちらはレンガ色のトタンが使われている。

いわさきちひろは絵本や黒柳徹子「窓ぎわのトットちゃん」の挿絵で有名な作家。
こどもを観る観察力とデッサン力がに優れ、子どもたちのあらゆる姿を描きだしている。
今回は、絵本でつなぐ「へいわ」企画展。
海外での終わらない戦争へのメッセージが伝わってくる。
優しい色合いで描かれる水彩の原画作品、ついつい見入ってしまう。

椅子、机などの家具のデザインは中村好文。
館内には列車の学校も再現されていて、カラフルなカードに平和へのメッセージ書き残せるようになっている。
へいわを願い創作活動をする長新太、田島征三、スズキコージなどの絵本作家の作品も併設されていてとても興味深かった。子どもたちの心にも響きますように。
子ども図書館のスペースがあるので、ゆっくりと読書を楽しむことができる。

屋外展示も素晴らしい。左 シデロイホス 原田和男。象形文字のようだ。

こちらも シデロイホス 原田和男。叩くと面白い音が響く。
上段は洗濯女たち 中野凛。顔発見。

隣接しているのは安曇野ちひろ公園。
大自然の中、ゆっくりと散策を楽しむことができる。アヤメ、ミニ糸杉や足跡が可愛い。

「窓ぎわのトットちゃん」で黒柳徹子が通ったトモエ学園の電車の教室が再現されて、広場に置かれている。
1両は地域の図書館となっていて座って読書できる。素敵だなぁ。


この季節は交通手段としてレンタサイクルを利用して移動するのもオススメ。何といっても景色が最高だ。
ジャン・ジャンセン美術館
安曇野アートラインの美術館のひとつ。
ジャン・ジャンセンの作品を観たくて2回目の訪館。
美術館の入口から建物までのアプローチや森に囲まれた雰囲気がとても素敵で気持ちが高まる。


世界で初めてのジャンセン専門美術館として建てられた。塚原氏の個人コレクションを公開する私立美術館で、設計は塚原和嘉穂氏が担当した。個人の邸宅のようにくつろげる空間。

レンガ造り、屋根が教会のようで可愛らしい。
ジャン・ジャンセン
1920年アルメニア出身。戦禍を逃れるため、家族とギリシャ、フランスへ渡る。モンパルナスの学校で絵画を学び、1941年にアンデパンダン展に出品し賞を受賞する。
ダリ、ピカソなどとも出会いながら、自分の画風を築く。イタリアの風景やバレリーナなどをモチーフにした作品を描いている。フランスのレジオンドヌール勲章も受賞。93歳永眠。

作品の撮影は残念ながら禁止。
バレリーナや女性の後ろ姿に複雑な心情を感じる。内面に注目しているように思う。
マスカレードのシリーズはグラデーションになった色づかいが秀逸。
目に焼き付けて退館する、後ろ髪をひかれながら。

TRIAD IIDAーKAN
安曇野アートでヒットした美術館。
地図に乗っていた写真を見て改めて行くべきところだと直感が働く。
アートの師匠のおかげでピンとくるようになった。
目的地に近づくと一般の美術館と様子が違う。
そのはず、(株)ハーモニック・ドライブ・システムという会社の敷地内にある建物だからだ。
企業のメセナ活動の一環として建てられた研究施設を槇文彦が設計し、隣接する美術館に飯田善國氏の作品が収蔵展示されている。
敷地の入口にいる警備員さんが丁寧に対応してくださる。

かまぼこ型の研究棟。丸みを帯びた形がよい。

隣接のIIDAーKANには、色彩とアルファベットをつなぎ合わせて作られたカラフルな縄状の作品だったり、積み木と縄をつないだりした作品が何点か展示されている。
それと合わせて、詩人西脇順三郎が飯田氏のために書き下ろした英詩に飯田氏が絵をつけたシルクスクリーン作品「クロマトポイエマ」が展示されている。カラフルで洗練されたデザインだけど、残念ながら撮影は禁止。
飯田善國氏、画家、彫刻家、演劇や映画にも出演したことがある多才なアーティスト。
覚えておこう。


屋外彫刻は Hans Steinbrenner Figure ,1990
TRIAD
(株)ハーモニック・ドライブはロボットや精密機器に使われる部品を製造している会社だ。
研究棟、技術者が優れた感性を高めるためのギャラリー棟、守衛所3つを槇文彦が設計した。
TRIADはその三つを表している。
企業理念がしっかりした会社で働く社員さんは幸せだ。なかなかそういう企業ばかりでない。
素晴らしい企業だということは守衛さんの対応からも伝わってきた。「わざわざ遠い所からありがとうございます。」と、お声掛けいただくマチ。恐縮してしまった。
アートと旅は人との出会い!
近隣アート
<安曇野アートラインより>
☆安曇野高橋節郎記念美術館
大ぶりで現代的な漆器作品が展示されている。建物も素敵だった記憶がある。
穂高駅からタクシーで10分、レンタサイクルで20分。

☆碌山美術館
荻原守衛の彫刻作品が展示されている。重要文化財や碌山に関連した作家の作品もある。
何といっても教会のような美術館のたたずまいが素敵なのだ!
建築としても一見の価値がある。
穂高駅から徒歩7分。

☆絵本美術館&コテージ 森のおうち
子ども連れで訪れると大満足間違いなし。国内外の絵本8000冊あまり置かれていて、図書スペースでゆっくり読書できる。コテージに宿泊して雰囲気も味わえるのが魅力的。
穂高駅からレンタサイクルで25分、車で11分のアクセス。

新緑の中、日常を忘れてアートを楽しんだマチ。
アートっていいなぁ。今日も心豊かに。
